「美濃ビーコンってなに?」ワークショップ

情報科学芸術大学院大学(IAMAS)では、岐阜工業高等専門学校や美濃市、地元企業などと連携して、美濃市の「サイクルシティ構想」を推進する「Mino Jitensha Style」プロジェクトを研究活動としてすすめています。2013年度は、美濃市が運営しているレンタサイクルを観光推進に活用していくために、位置情報に関するテクノロジーを使ったユニークな企画を提案しています。その取り組みの一環として、12月14日に「美濃ビーコンってなに?」と題するワークショップをIAMAS「美濃の家」で開催しました。

このワークショップでは、日本で初めての試みとして、アップル社の「iBeacon(アイビーコン)」を、屋外の観光スポットに設置し、音声付観光ガイドアプリとして活用する実証実験を行いました。「iBeacon」は、アップル社が本年度新たに提供を開始した近距離無線通信技術で、iPhoneやiPadなどに搭載されたBluetooth Low Energyを利用して、10メートル程度の範囲でビーコンの情報を送信できるものです。これを利用すると、あらかじめアプリをダウンロードしたユーザーは、特別な操作の必要なくクーポンやチケットの発行を受けられる、非常に簡単な手続きで支払いができるといったことが提案されていることから、新たなマーケティングのツールとしての活用が期待されています。

「美濃ビーコン」は、元来、屋内での利用を想定した「iBeacon」の、新たな可能性を探究するひとつの試みとして、屋外用の観光ガイドとして開発されたアプリです。アプリの制作を担当したのは、IAMAS卒業生が立ち上げた地元ベンチャー企業、有限会社トリガーデバイス(代表取締役 佐藤忠彦氏)です。ワークショップでは、IAMASの小林茂准教授から、「美濃市の潜在的な魅力を発見し、それを内外の人々と共有していく」ための一つの提案としての「美濃ビーコン」の可能性と「iBeacon」の持つ潜在的な汎用性について説明があったあと、トリガーデバイスの佐藤氏から「美濃ビーコン」アプリの仕組みや使い方について解説いただきました。

ワークショップの参加者たちは、「iBeacon」が設置された美濃のうだつの上がる町並をレンタサイクルで走りながら、指定された観光スポットに立ち寄り、自動的に立ち上がる音声ガイド付きの観光案内のサービスを体験しました。地元美濃市や愛知県から参加したアプリ開発業者などからは「美濃ビーコン」アプリの使い勝手や利用方法の提案について、「実際の町中でiBeaconを体験するのは初めてでとても新鮮だった」「今回は限定されたコンテンツだったがコンテンツ次第でかなり広がりがありそう」などといった感想があがっていました。

「Mino Jitensha Style」は、美濃市をフィールドに調査研究を行い、実際に観光推進に役立ててもらうことが狙いです。「美濃ビーコン」以外にも、レンタサイクルの利用者にGPSロガー(人工衛星を用いて位置情報を取得するGPSを使って移動経路を記録する機器)を携帯してもらい、自転車で走った経路のデータを分析して観光に生かそうという取り組みも並行して行っています。14日のワークショップでも、参加者に実際にGPSロガーを携帯してもらい、自由にレンタサイクルを利用してもらいました。そして、得られたデータを地図上で視覚化できる専用アプリを使って、各参加者の走行経路を地図上で確認するところまで体験しました。この専用アプリは、プロジェクトに参加している岐阜工業高等専門学校の田島孝治助教が開発したものです。GPSロガーで収集したデータを見た感想として、参加者からは「想像していた以上に正確に移動経路が記録されていて驚いた」といった感想があがっていました。

美濃自転車プロジェクトは、IAMASと岐阜工業高等専門学校との学校連携から始まった、新しいものづくりの手法の開発を目指すプロジェクトが発展して、2012年度からは、新たに、美濃市、株式会社タカイコーポレーション(美濃市)、株式会社喜乃紀(愛知県豊田市)を連携パートナーに迎えて、美濃市の「サイクルシティ構想」を推進する取り組みをすすめています。

ワークショップが開催された12月14日から、2014年3月31日まで「『スローライフなまち、美濃市』を発見しよう」をテーマに、美濃市内で撮影した自転車がある風景をWebサイトで応募する美濃自転車写真館(主催:美濃市)もスタートしています。
(応募用 Webサイト:http://minojitenshastyle.tumblr.com/

今後は、今回のワークショップでのフィードバックを元に、さらに発展させた形態で継続的に実施することを2014年春以降に検討中です。また、美濃市で生活する人々がコンテンツを投稿できるようにする、美濃市周辺のIT企業がアプリケーションやウェブサービスの開発に参加できるようにするなど、市民参加型の活動に発展させていきたいと考えています。

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