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無何有荘

2006.09.13

幕末の大垣藩の財政を立直し、維新前後の政局にあってみごとな舵取りで藩を安泰に導いた小原鉄心は、こよなく梅と酒を愛したひとで、城北の林村(現林町)に風雅な別墅(べっしょ)を営みました。これを無何有荘(むかうそう)と命名したのは彼が私淑した禅僧、鳳雪爪(おおとりせっそう)で、中国の古典『荘子』に拠ったものです。この別墅は彼が公務から逃れて悠然と浩気を養うところであり、また知友と天下の形勢を談じる場所でもありました。いまその一部、大醒木射(たいせいしゃ)のみが、船町港跡近くの全昌寺に保存されて、幕末の文人趣味建築の面白さを伝えています。ちなみに雪爪は当時、全昌寺の住職であって、鉄心の墓もここにあります。
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Date: 2006.09.13 00:00 |