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展示

大垣ふうけい論

ディレクター:安藤泰彦
大垣の街は奇妙なモザイク状の異種混交体(キメラ)である。戦後最新式の防火ビルとして建てられたという古いビル、地上のアーケード。幾つかはシャッターを下ろされた店舗群、その間から見える大垣城。それらはどこにでもある地方都市の一風景を思い起こさせもするのだが、町中を歩けば、様々な歴史や文化の層、自然の層を埋め込んだ大垣固有の風景が見えてくる。それは現在も、流れ、変化し続けている風景である。招待作家を含めた14名の作家は、駅前商店街を中心とする空き店舗、地下道、ギャラリーなどを展示会場に用い、それぞれの表現手法で大垣の場所と関わりつつ、つかの間の「ふうけい」をかたちづくる。

浮き上がる模様

シミョン・レイモンド
会場:駅前地下道

この地下道は幅が大変広く、人通りの非常に多い場所にあるのだが、それほど多くの人が通ることはない。私は地下道に既 に設置されている要素を用い、この場所に新しい空気を持ち込みたいと考えている。そしてこの場所を光と体験の場所へと変化させたい。この作品は「光景の知覚」と「時間の知覚」に焦点を当てている。


治癒、接着/交換

作間敏宏
会場:大垣ビル 1F

『治癒』の連作から『colony』『接着/交換』の連作までを貫いて、僕は僕自身の死生観のようなものを制作の軸にしてきた。 灰の上に仄かな光を配した「治癒」の一作目と、空間に包帯を充満させた「接着/交換」の最新作を併置することで、その死生観の「はじまり」と「現在」をひとつの「ふうけい」として眺めたいと思う。
写真:「治癒」 1993


無機植物相

村山誠
会場:高屋町地下道

植物は有機的な形態を持った生物と一般には認識されている。しかし、それは一つの側面でしかない。彼等は有機的な形態と共に幾何学的な構造という相反する要素を持ち合わせているからである。後者を際立たせることで彼等は普段とは違った姿を表し、そこから異なる魅力を見ることが出来るだろう。
写真:「gerbera1」 2008


行雲流水

田部井勝
会場:高屋町地下道

音に反応しているのか? 動きに反応しているのか? 否。わずかな自律に従ってそこに在るだけである。雲が行き過ぎるように、水が流れるように。それでも私たちは、「彼」にそれ以上の意思を感じずにはいられない。


Cyborg

八木良太
会場:佐々木ビル南隣

大垣市内には大きなひまわり畑がある。そのひまわりに太陽電池を取り付け、ブザーを鳴らしたりモーターで動かすなどを試みる。直面するエネルギー問題に対しての解決案として、効率の良い発電方法と無駄な使い方について考えた作品。


SUGATAMI

萩原健一
会場:ヤナゲン ショーウィンドウ

ストリートダンサーの動画ポートレート作品。深夜のビルで練習を繰り返すダンサーを鏡越しの視点から数ヶ月間撮影した。 ディスプレイには異なる時間軸の同じダンサーが交代で登場し「同じ曲」で踊る。自分をみつめるまなざしと移ろう成長過程を通し、確固とした人物像と現代の都市景観を浮かび上がらせる。


祈りの言葉 2008.9 岐阜県大垣市

内藤絹子
会場:大石証券旧店舗

山はどこ、この水はどこから流れてくるのかな、面白そうな店がある、この通路の奥は何があるんだろう…。今回、大垣市の町をほんの一部ではあるけれど、私的に観察し、湧き出てきた言葉を会場全体に描きたいと考えています。町の至る所で自噴水が湧き出るように、私なりの自噴する場をつくりたいと考えています。
「祈りの言葉 2006.1」 アトリエ2001、神戸


Imaginary Numbers

木本圭子
会場:GALLERY ゆう、田中屋せんべい

全ての生物、生命の根源にあるリズム、それを生み出すダイナミズムをテーマとした作品群。ダイナミズムは、意味ではなく「経験の変容」である。その表現としての映像、発光パネル、動きを知るインタラクション作品を総合的に展開する。


かざな

梅田哲也
会場:GLAMDY 4, 5F

かぜがうずをまいてる。建物は目的を見失うか。反転して外へ飛んでくか。そとに向かって物を投げたい。でも投げちゃいけない。


Transparent

河合孝真月洋子
会場:青竹堂本店北隣

蛇口をひねればいつでも出てくる身近なもの、身を清める儀式にも使われる聖なるもの、そして時には猛り狂って襲いかかってくる魔物。水は様々な表情をもっている。良質で豊かな地下水をもち、古くから「水の都」としてあった大垣のひとびとと水との歴史を、レンズを通して見つめ続けてきた河合孝氏の作品を透して、水を媒介とした場所の記憶と、無意識のうちにわたしたちの身体に刻まれている水の記憶を考える。
写真:最後の堀田風景


Impedance

真月洋子
会場:大垣市多目的交流イベントハウス 2F

人や物が日々動いている街の時間のながれは、新しいものがだんだんと古いものになっていくというひとつの方向ではなく、行きつ戻りつするジグザグした動きをとっている。それが重なりあったり、隣あったりして、ひとつのモザイクをつくるときに発生するわずかなノイズを、写真に写しとられた風景の断片のなかから聴いてみる。


aquascope(水景採集)

田尻麻里子
会場:大垣市多目的交流イベントハウス 3F

大垣の水路・自噴水などにビデオカメラを沈め、水の中/周辺に現れるイメージと音声を〈採集〉し、インスタレーションとして再構成します。カメラが捉えるミクロな触覚的風景には、意外性と偶然性が溢れています。「水景採集」とは、日常性のうちに埋没しがちな〈宇宙の驚き〉を再発見しようとする愉快なレッスンなのです。


Cicada

八木良太
会場:竹島会館 1F

数種類の蝉の鳴き声を採集し、竹島会館にて再構成したインスタレーション作品。録音された蝉は死ぬことを許されなくなった気がする。写真に魂を抜かれるとはこういうことかと思った。空蝉となった後も終わることの無い夏休み。


背景色

萩原健一
会場:竹島会館 1F

写真が撮られた場所にかつての被写体が再び集まり同じ演技(ポーズ)をトレースする。過去の写真を一つの台本と捉えて、自分の役を自身が演じる。イメージの“背景”を再演するときに立ち上がってくる場と人物の経歴を綴っていった映像作品。


Orfi

MusicalFieldsForever (Anders-Petter Andersson, Birgitta Cappelen, Fredrik Olofsson)
会場:竹島会館 1F

作品名「Orfi」は「origami」と「field」の頭文字をとったもので、またギリシャ神話の音楽の父、Orpheusの名からインスパイアされている。このデバイスは無線モジュールが組み込まれたクッションで構成され、鑑賞者は折り紙のように自由に折り曲げることができる。折り曲げた情報は、音と映像、光に変換され、鑑賞者同士で作曲のセッションを行うことができる。また演奏された音は記録され、再構成された曲が再生される。
19日〜24日まで展示、25日〜28日はアーカイブ展示
写真:「Orfi」 2007


縁環

坂口倫崇
会場:竹島会館 2F

鐘を撞くという行為。「静寂」のための鐘の音。「暗闇」のための光。判断停止。
写真:「水煙」 大垣武徳殿、2007