DSPコースについて

コース概要

DSPコースは、岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)の4つのコースのうちのひとつで、2年制の専修学科としてインタラクティブなパフォーマンスやインスタレーションを中心に教育と研究を行っています。IAMASの開学は西暦1996年で、DSPコースは西暦2000年からスタートしました。コースの名称であるDSPは、Dynamic Sensory Programmingの略称で、ダイナミック(動的)な感覚をプログラミングすることを意図しています。

このDSPコースでは、アートとテクノロジーの歴史のなかでも、リアルタイム性やフィードバック性の高いインストゥルメント(道具、楽器)とパフォーマー(役者、演奏者)との関係性に注目しています。このような観点から、広く複合感覚を伴った身体の拡張へと発展させ、多様なメディアやネットワークを自己の身体として駆使することができる、みずみずしい感性を持った表現者や技術者が期待されています。

具体的には、音響や映像のためのデジタル信号処理やインタラクティブ処理の習得を基礎として、それらを応用してパフォーマンスやインスタレーションなどの作品制作へと発展させます。関連する思想や技術についての輪講や講座が定期的に行われ、イベント、コンサート、ワークショップなどの企画や運営も随時行われています。このような学習と実践を通じて、より高度な表現力と技術力を培うことを目指しています。

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カリキュラム

DSPコースでの2年間の流れは以下の図のようになります。おおまかには1年生前期で基礎的な知識や技術と柔軟な思考方法を学び、1年生後期において、それらを発展させて年次制作に結実させます。そして、2年生では卒業制作を念頭に、前期に実験やプロトタイプ制作を行った上で、後期には本格的な制作や研究に集中します。このような活動をサポートするために、コースゼミを中心として、プロジェクトや講義・実習などの授業を受けることができます。

学生の立場からカリキュラムを見ると、入学当初はリテラシーや講義・実習系の授業が多くありますが、次第に個人の時間が多く取れるようになります。多くの人は1年次に必要な選択科目の単位を取得し、2年次はコースゼミなど必修科目の他は、制作や研究に集中できるようです。年中無休24時間学内施設が使えることも、IAMASの大きな利点です。

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リテラシー

リテラシーではIAMASでの生活、授業、制作に必要な様々な分野の基礎を学びます。これには、モチーフワーク、Web入門、デザイン入門、知的財産権講座、プレゼンテーション、音楽制作、映像制作、ドローイング,コンピュータ概論、ネットワーク概論、英語、数学などがあります。リテラシーは1年生の必修授業として、4〜5月および10月に集中的に実施されるほか、通年で受講する授業もあります。

パースペクティブ

パーステペクティブは情報社会の現状を分析し、将来を見渡せるような知識の獲得を目的とした講義や実習の総称です。メディア・プログラミング、デザインニング・プログラム、オーサリング、メディアデザイン演習、ネットワーク構築演習、アニメーション研究、企画制作、作品研究、CGI特論、DSP特論、表現領域特論、身体表現特論など、数多くの講座の中から選択して受講することができます。

コースゼミ

DSPコースのゼミは全メンバーが参加する全体ゼミと、2つのグループに分かれて行う個別ゼミがあり、いずれも週1回のペースで進行します。全体ゼミでは小規模なワークショップや作品制作過程でのプレゼンテーションが行われ、個別ゼミではディスカッションを中心とした学生ごとの制作相談や近況報告などが行われます。真剣な議論が飛び交う一方で、馬鹿話にも盛り上がることもあります。

制作

学生ごとの志向や問題意識を元に、年間を通じてさまざまな個人制作や共同制作を行うことになります。制作はおもにコースゼミを通じて社会的および美学的な意義を検討し、技術的な指導を受けながら段階的に発展させます。制作された作品はオープンハウス、年次制作、卒業制作などにおいて発表するほか、学内に留まらず学外での発表も推奨されています。制作には次項で紹介するプロジェクト実習もあります。

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プロジェクト

IAMASでは数々の研究プロジェクトが実施されています。現在、DSPコースのスタッフが中心となって主催しているプロジェクトとして、DSPプロジェクトが行なわれています。また、これまでにはPDPとMIRAGEなどのプロジェクトが行なわれました。

DSPプロジェクト

DSPプロジェクト(DSP的に最適なプレゼンテーション手法の探求)は美術館やギャラリー、あるいはコンサート・ホールなどの、一般的な発表空間には収まりにくいアート作品のための新しいプレゼンテーション手法を実践的なアプローチにより探求して行きます。

具体的には、対外的なイベントでの作品発表を前提として、技術的なスキル(音響技術、画像処理、デバイス、ネットワーク)を取得しながら、作品制作を行ないます。そして、調査や構想を含めて企画立案を行い、イベントを制作し、作品発表を行います

2008年度は、AppleStore銀座、オープハウス、岐阜おおがきビエンナーレを対象にイベントの企画制作が進行しており、同時に、iPhoneアプリケーション開発講座、フィジカル・コンピューティング・ワークショップ、PAワークショップなどを通じて技術習得が行なわれています。

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PDP(完了)

PDP(プログラマブル・デバイス・プロジェクト)では、プログラムによって再構成可能なデバイスを用いた新しい表現やインタフェースの可能性を追求しています。

2005年度は、Cypress社のアナログ/デジタル混載マイコンであるPSoCを中心に用いて小型の音響デバイスやI/Oモジュール「GAINER」の研究/開発を行いました。GAINERはDSPコース内のワークショップでも実際に教材として使用し、年次制作や卒業制作でも多数使用されています。

また、電子回路の実験に用いられるブレッドボードを用い、電子楽器の原点に立ち戻っての表現を試みる演奏集団「The Breadboard Band」は、短期間に様々なイベントでの発表活動を行い、注目を集めています。

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MIRAGE(完了)

MIRAGEプロジェクト(アーティストのためのコンピュータ・ビジョン)では、インタラクティブ・アートにおけるコンピュータ・ビジョン技術の応用研究として、ソフトウェア・デザイン、作品制作、そして教育資料作成を行っています。

1960年代後期から、メディア・アートにコンピュータ・ビジョンが取り入れらてきましたが、最先端の研究レベルと一般的なクリエータ向けのツール・レベルでの隔たりは埋められることなく、近年ますます大きくなっています。

そこで、このプロジェクトでは一般クリエータにとって使いやすいツールの開発と資料作成を行い、アーティストによるユーザビリティの評価を行います。これらは、コンピュータ・ビジョンを用いた作品制作を通じて実践的な研究として実施されることになります。

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スタッフ

DSPコースは以下の4人の専任教員が担当しています。コースとして共通した趣向があるものの、それぞれの教員の専門分野が異なるため、幅広い指導を受けることができます。また、現在のDSPコースの在学者数は16人で、平均して教員1人あたり学生4人の担当となり、少数精鋭主義のIAMASのなかでも恵まれた指導環境になっています。

赤松正行(教授)

おもに音楽や映像の分野で、インタラクティブなパフォーマンスやインスタレーションを研究・制作し、近年はiPhone関連の研究制作に集中している。

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平林真実(准教授)

ネットワークやプログラミングの研究者としての側面を持つ一方で、オルタナティブなサブカルチャーにも造詣が深い。

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小林茂(准教授)

フィジカル・コンピューティングやスタンドアローン・デバイスを中心に研究を行い、Gainerを生んだPDPを主催している。

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ジャン=マルク・ペルティエ(講師)

音楽家であると同時に画像認識に詳しく、同技術を用いたMirageプロジェクトを主催し、Jitter用ライブラリ「cv.jit」の作者でもある。

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制作環境

DSPコースは4つのコース室を持ち、1年生および研究生の居室、2年生の居室、ミーティング室、そして共同制作室として運用しています。また、IAMASの共有施設のうちサウンド・スタジオを管理しています。

DSPコース室1

DSPコース室1は共同の制作室として利用しています。共同で使用するコンピュータや機材が設置されていますが、できるだけ広い空間が確保できるようにしています。プロジェクトや個人制作に応じて室内は自在に様変わりします。

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DSPコース室2

1年生および研究生の活動母艦となるのがDSPコース室2で、各自が書籍や機材で装備したデスクを構えています。狭いながらも共同のテーブルなどもあります。入学当初はモデル・ルームのように美しいものの、次第に混沌としていくようです。

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DSPコース室3

同じく2年生の居室がDSPコース室3です。1年以上活動の拠点となっているので、混沌を超えて熟成された雰囲気もあります。1年生部屋もそうですが、この部屋に学生が集まるのは夜になってから。朝まで活動を続ける強者(?)もいます。

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ミーティング・ルーム

ミーティング・ルームには、イスとテーブルのほか簡易なプレンゼンテーション設備があります。おもにゼミやプロジェクトのミーティングのために使われますが、短期間の作品展示を行うこともあります。

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サウンド・スタジオ

サウンド・スタジオには演奏やナレーションを行うスタジオ、Pro Tools (HD3|Accel)を中心とした録音室、そして3つの録音ブースがあります。スタジオは天井が高いので床面投影や床面画像解析、マルチ・チャンネル音響などの制作にも利用されます。

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通路・壁

DSPコース室1〜3とサウンド・スタジオは新校舎の4階にあり、メンバーが行き交う廊下や壁面のDSPパネルは近況を伝える重要なメディアになっています。ミーティング・ルームのみ2階にあり、ゼミに向かう時は結界に入るキブンだそうです(学生談)。

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その他の施設

DSPコースが運用する施設だけでなく、IAMASの共用施設も活用することができます。DSPコースの学生が利用する機会が多い施設としては、ビジュアル・スタジオ、木工室、金工室、プリンタ・ルーム、写真現像室、サーバ・ルーム、図書館、ギャラリー、マルチメディア工房、ホール、そして校庭などがあります。

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作品発表

教員、学生を問わず、作品や論文の発表が数多く行われており、DSPコースの特徴のひとつとなっています。発表には、コンサート、展覧会、上映会、研究学会、インターネット公開など様々な形態があり、対外的な発表だけでなく、学内での実習的な発表の機会も多くあります。

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海外交流

DSPコースでは国内だけでなく海外での作品発表や論文発表も行っています。また、海外からのアーティストや研究者を招聘しての特別講義や、IAMASの海外学生交換制度を利用した短期留学も多く、海外交流は盛んであると言えます。

海外へのDSPコース学生派遣

2002年度 真鍋大度(ダートマス大学、アメリカ合衆国)
2003年度 林洋介(ダートマス大学、アメリカ合衆国)
2004年度 野路千晶(ダートマス大学、アメリカ合衆国)
2005年度 大石彰誠(レイベンスボーン大学、イギリス)
2006年度 堀宏行(スリシュティ大学、インド)
2008年度 伊藤友哉(スリシュティ大学、インド)

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海外からDSPコースへの学生受け入れ

2003年度 Jon Cambeul(レイベンスボーン大学、イギリス)
2004年度 Yasser Rashid(レイベンスボーン大学、イギリス)
2005年度 Allan Au(レイベンスボーン大学、イギリス)

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2006年度 Ramyah Gowishankar(スリシュティ大学、インド)
2007年度 Palash Mukhipadhyay(スリシュティ大学、インド)

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