アーノン・ヤール

アーノン・ヤール
arnon@telething.com
http://www.telething.com/lightbeam

1970年、イスラエル生まれ。スカイダイビング、彫刻、幼児教育、工学、インタラクティブ・デザインなどさまざまな趣味と経験を持つ。電子工学を専攻し、テル・アビブ大学の電子工学部を卒業してから、ニューヨーク大学でインタラクティブ・テレコミュニケーションズを専攻して修士の資格を取得した。
現在、ニューヨークにて妻と娘と一緒に住み、独立してコンサルタントの仕事をしている。最近の仕事としては、おもちゃの電子楽器、インタラクティブ・インスタレーション、そして、HBO、アルフィ・ドットコム、トマス・タンク・エンジンなどの企業に、遊び場であり教育環境となるウエブサイトを制作した。


光条のポートレイト

「光条のポートレイト」は、立体スキャニングのユニークなプロセスを単純化し絵解きするいっさいボタンやキーを用いない楽しい作品である。このシステムは、スキャンされる参加者を、たんなる受身の存在としては扱わない。参加者が映像を作ることに積極的な役割を持つゆえに、この作品はインタラクティブな3Dスキャナーとなっている。
この作品は、観客と、固定された直線的なビームとのインタラクションを基にしている。
よく知っているものの形が崩れて曲線となり、それが目の前で新しいものに変化してゆくゆえに、参加者は光と空間、身体とその表面といった概念を探っていくことができる。

プロセスについて

何かみるものをビームの前に置くと、そのもののある断面が強調され、それを構成する輪郭線が見えてくる。光線がその通りみちにあるものの正確な像を描く。こうやってビームがいくつもの断面をとったうえではじめてそのものの全体像が見えてくるのである。
「光条のポートレイト」は観客にこのような経験をさせてくれる。システムは即座に反応し、観客は光線とのインタラクションを楽しむことができる。この作品に参加することで観客はシステム内のあるいくつかのルールに気づくことができる。そのルールの一つは、一定の時間間隔によって断層像を撮影しているということだ。これに従って動くかどうかは参加者の自由である。着実に前に進めば正確にスキャンされる。勝手な動きをすると、もっと抽象的で虚の映像彫刻ができる。
子供から3Dの専門家までの、興味あるいは関心を引く作品である。必要なものは一筋のビーム、ビデオカメラ(それとスクリーン裏のコンピュータ)、そして、もちろん好奇心の強い、遊び心を持った参加者である。
「光条のポートレイト」を考えるにあたって目標としたのは、システムとプロセスをできるだけ簡単にすることだった。たとえば、ビームは参加者の片側にしかない。人間は頭の中で影になっているものから映像を組み立てることによく慣れているので、驚くほどいい結果が出た。他には、メカニズムの提示方法(表面全体を表示するのではなく曲線の連続で立体を構成すること)や、その配置のしかたによって、システム自体を完全に自動化し、実際に触れるインターフェイスを存在させないことが挙げられる。スキャニングのメカニズム自体は、実際の深さを無視し、参加者が一定の速度で進むと仮定している。一方で、連続する層の幅を変えることは参加者の自由である。なお、カメラとビームは観客に見えるようになっている。結果として、参加者は作品の制作方法と過程とを探ることができ、作品とのインタラクションによりエンターテイメント性を持たせることができ、スキャニングの結果もより興味深いものとなる。
ここで発表されている「光条のポートレイト」の作品は、過去二年の努力の結果である。このスキャニングの方法を発明・創作し、水、空気などのさまざまな媒体を使い、さまざまな光の条件と異なる表現方法で実験を繰り返してきた。
この作品はニューヨーク大学のインタラクティブ・テレコミュニケーションズ・プログラムの修士課程の修了制作として完成させ、2000年12月に発表された。



ケイシー・リースティファニー・ホルムズジム・キャンベルカミーユ・アッターバック ウォルフガング・ミュンヒ+古川聖ジェイ・リー+ビル・キースアルス・エレクトロニカ・センター未来研究所児玉幸子+竹野美奈子ゴーラン・レビン岩田洋夫