ジム・キャンベル

ジム・キャンベル
jim_campbell@pacbell.net

ジム・キャンベルは 1956年にシカゴで生まれ、現在サンフランシスコに在住。1978年、MITの数学と工学の理学士の2つの学位を取得。
彼の作品は、ホイットニー美術館、サンフランシスコ市立近代美術館、ハーバード大学カーペンター・センター、トロントのパワー・プラント、ニューヨークの国際写真センターなど北米各地、東京のNTTインターコミュニケーションセンターといった機関で国際的に展示されている。
彼のエレクトロニック・アート作品はホイットニー美術館、サンフランシスコ市立近代美術館、バークレーの大学美術館、サンノゼ美術館の所蔵品になっている。1992年、アリゾナのフェニックスで、公共空間に永久展示されるインタラクティブ・ビデオ作品としてはアメリカで最初のものを制作した。ニューヨーク近代美術館を含め、多くの機関でインタラクティブ・メディア・アートについて講演。近年、ロックフェラー財団のマルチメディア分野における助成金、ラングロア財団の助成金、そしてユーリカ・フェローシップ賞を受けている。彼はエンジニアであり、ビデオ・イメージ・プロセッシングの分野において12以上の特許を取得している。


触れる色彩のスリル

この作品は小さな暗室の中の小さな黒い台からなっている。台の上面にはガラスのスクリーンが付き、中にビデオプロジェクターが設置されている。ガラスのスクリーンには下から映像が投影されている。観客は静かな部屋のなかで、台に映った映像を見る。観客がスクリーンに手を置くと同時に、二つのことが起こる。映像からは空間に音が広がり、また、画面はあるひとつの色に置き換わっていく。
手をガラスのスクリーンに置いているあいだ、音は広がり続け、画面は単色のままで別の色に変化していく。手を映像の周りで動かすと、台から放射される色の広がりが、順々に違った色へと変化していく。この色は観客が触っている場所によって変わる。おしゃべりする人の映像の場合、観客の手が、唇から眉まで移動すると、スクリーンに投影される映像は、薄いピンクから肌色になり、続いて濃い茶色に変わる。ある時に見えている色は、そこにあったがいまは見えていない画像の観客の中指が触れた部分のピクセルの色に基づいている。
観客のかつてあった画像の記憶に、いまでは見えない画像のさまざまな部分の色の探査が加わって、半ばは記憶に、また半ばはその細部に基づく新しい画像が確定されるのである。
画像は動きつづけ、ある画像がフェイド・アウトすると色がくっきりとしてきて、また画像が変化しつづける。音にはそこで起こっている動きが含まれているので、観客はその画像でいま進行していることを想像できる。 言いかえればここには音と色という画像を示唆する2つの鍵がある。色の変化のリズムと音のリズムはときに互いに相手を強めあう。たとえば指を話している唇のそばのどこに置いても、言葉は見えない唇の動きに基づく赤から黒、さらに白への色の変化に同調するように聞こえるのである。

プロダクション・アシスタント:クレール・カルビーノ(Claire Calvino)



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