ART+COM

テラ・ビジョン

「テラ・ビジョン」は仮想の地球をインターフェイスとし、あらゆる情報を統合し、アクセスを可能にし、視覚化する試みである。画面上の仮想の地球は2次元の高解像度の衛星写真データと三次元の地形データとでつくりだされている。

ディテールの異なるデータをきれいにつなぎあわせることで、地球全体のイメージから数CM角のサイズまでなめらかにズームインすることができる。この仮想の地球上には場所に関連するデータならどんなものでも視覚的に表現することができる。

一ヶ所にすべての情報を詰め込んで、情報の視覚化に必要なすべての高解像度のデータを時々刻々更新することは不可能なので、テラ・ビジョンは世界規模のATM(非同期転送モード)広帯域ネットワークを用いたデータバンクを自由に使うというコンセプトに基づいて設計されている。ある場所に近づいていくとATMネットワークを自動的につながり、今見ているところに必要な最新で、最高のクオリティのデータを転送する。このデータは気がつかないうちに利用者のシステムに組み込まれる。

仮想の地球を旅するために、地球に似せた特殊なインターフェイスを開発した。これによってどの時間の、どの場所に関する情報でも自由にとり出して見ることができる。

「テラ・ビジョン」は情報の空間化の一例であり、空間的に情報にアクセスするという概念がいかに強力なパラダイムであるかを見せつけている。これをより一般化し、地理データから様々な構成の情報や知識へと広げることのできる原理を見つけることは興味深いテーマである。

「テラ・ビジョン」は広帯域ネットワークアプリケーションの研究プロジェクトとして、アート+コム(ベルリン)によって制作され、デーテーベルコム(ベルリン)の出資、ウェザーニュース社(東京)の協力で実現した。

クレジット:

コンテンツ、イベントマネージメント: Gerd Grueneis
プロジェクトマネージメント: Steffen Meschkat
インターフェイス、コンセプト: Joachim Sauter
ソフトウエア: Axel Schmidt
スタッフ: Andreas Bogk, Axel Kilian, Ulli Lipka, Dirk Luesebrink, Pavel Mayer, Dirk Naepel, Dieter Sachse

http://www.artcom.de/


アート+コムはコンピュータテクノロジー、コミュニケーション、およびデザインの融合を目指す、専門領域を横断するグループである。

科学、デザイン、教育の各分野が相互に交流することを目指し、コンピュータによるデザイン、コミュニケーションを専門とする組織として1988年に設立された。設立以来、新しいアイデアと新しい技術のるつぼとして、芸術、科学、そして企業の専門家たちが集い、アイデアや目標を集結する場所となった。ここでの方法論の特徴は、新しいプロジェクトや新しいアプローチを積極的にとりいれ、旧来の方法、考え方に疑問を持ち、複雑な開発プロセスを迅速に行うところにある。

アート+コムでは最先端の技術で作業できる環境がある。科学者、芸術家、デザイナー、情報関連技術者が同一の目標にむけて進み、ビジュアルやコミュニケーションを新しい次元へと開く努力を続けている。30から40人の幅広い分野のプロフェッショナルたちによって、広範囲にわたる事業を可能にしている。

情報化時代のリーダーとして、アート+コムの多くのコンピューターグラフィックス学会(シーグラフ、イマジナなど)で注目を浴び、コンピューターアートの分野で主だった賞(アルス・エレクトロニカ、IMFアワードなど)を獲得している。