展覧会概要と趣旨

期間: 1999年3月5日(金)〜3月14日(日)

会場: ソフトピアジャパンセンター
岐阜県大垣市加賀野 4-1-7 Phone: 0584-77-1111




企画制作: IAMAS

主催: 世界メディア文化フォーラム実行委員会(岐阜県+大垣市)

助成: 国際交流基金

後援: 外務省、文部省、通商産業省、運輸省、郵政省、建設省、
自治省、国土庁、名古屋アメリカン・センター、
在大阪イタリア総領事館


協賛: 日本シリコングラフィックス(株)、アップルコンピュータ(株)、
(株)アプティ、ソニー(株)、日商エレクトロニクス(株)、
エム・ビー・エス(株)、NECホームエレクトロニクス(株)、
日本アイ・ビー・エム(株)


事務局: 岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)
〒503-0014 岐阜県大垣市領家町3-95
Phone: 0584-75-6600, Fax: 0584-75-6637
URL: http://www.iamas.ac.jp/


お問い合わせ: Phone: 0584-75-6600(担当 山田・稲垣)
Fax: 0584-75-6637, E-mail: i99-info@iamas.ac.jp






 展覧会の出品作品は文字通りインタラクティブ・アートであって、観客自身が参加することではじめて本人に意味が伝わる体験型作品です。しかも観客の積極的な参加がないと、その深い意味や面白さも体験できずに終るし、逆に観客参加の仕方によっては、作家自身が予期しなかった体験まで生まれることもあるでしょう。なかにはこどもから大人まで遊び感覚に誘う作品も少なくありません。
 今回の出品作家の多くは、過去2回に比べて大きく若返りしました。前回までの作家たちが、どちらかといえば80年代初めから活躍していた第一世代のインタラクティブ・アートのパイオニアたちだったとすれば、今回の作家のなかには大学院在学中の学生もいて、すっかり若返った印象です。それだけに、作品のプログラミングや新しいインターフェイスに工夫をこらしたものが少なくありません。MITやニューヨーク大学のITP(インタラクティブ・テレコミュニケーションズ・プログラム)の学生や教師、さらにアメリカ西海岸のパロアルトのインターバル・リサーチ研究所の客員芸術家といった、アートとテクノロジーの境界領域で活躍している作家もいます。さらにIAMASからは個性的な客員芸術家たちも新作を出品しています。またそれとは対照的に、80年代から世界的にビデオ・インスタレーションの分野で活躍してきたイタリアのスタジオ・アッズーロのグループも参加して、古典に題材を求めた重厚な作品を出しているのも、大きな特徴です。彼らも、かつてのビデオ・インスタレーションと若干異なり、最近は積極的に新しいインターフェイスを使った、観客参加型のインタラクティブ・アートを発表しはじめています。よくみると、そのインターフェイスの使い方やコンセプトに、他の作家達と微妙な違いがあることにも気づかされます。そんな多彩な作品のありかたをみることで、改めて、これからのインタラクティブ・アートの可能性について再考させられることでしょう。
 現代のマルチメディア・アートは、その背後で多かれ少なかれコンピュータのデジタル技術に依存しながらも、他方では、コンピュータはむしろ見えない裏方に押しやって、だれでも素直に楽しめる作品を追及する作家たちが増えてきています。従来のアートの伝統や精神をも継承しながら、より広く現代人の心に訴えかけるため、かつてのアートのよそよそしさやわざとらしさは避け、より人間的で、五感を使って全身で参加できる作品を追及しようという意識もみられます。その際に、裏方のデジタル技術と人間が本来もっているアナログ感覚をつなぐ巧妙なインターフェイスの工夫がますます重要になってくるのです。今回の展覧会は観客自身にそんなメディア・アートの新しい可能性を問いかける展覧会でもあります。