アルゴリズムとからだ展icmc2005

※本イベントは2005年12月25日に終了いたしました。

Tape & Video

  • 松村誠一郎 (東京大学大学院) [rifmak]
    "rifmak" は短い時間の音の断片を使って構築した音楽作品です。日常生活の中の音や短いノイズを加工。ディレイの調整。規則性のある反復。それらのプロセスを経て、ひとつひとつには意味が見出しにくい音の断片から表現を生み出す試みです。
  • 小堀大輔 (東京大学大学院) [臨点]
    ごく短い音、Grain を生命の「細胞」にみたて、それらの集まりを「個体」として考えるという発想から生まれた作品。テクニック的な面として、GranularSynthesis によって生成した音の素材を、遺伝的アルゴリズムで自動生成された和声に基づくパラメータで設定されたComb Filter によって、加工した。
  • 金子雄大 (昭和音楽大学) [DAWN〜ピアノと電子音のための〜]
    自然と機械文明が見事に共存した場所がある。そこには機械文明が作った物がたくさんある。そして、その地を人間は恐れた。だが、自然は何の恐怖もなしにその地を占領してしまった。そして、遠くの地から鳥達が群れをなしてやってくる。その場所には絶滅したと思っていた生物が生息していたりする。そこは地球にたった一つしかない場所といっても過言ではない。機械文明と自然。この2 つの相反する言葉をテーマし、作曲をした。この作品ではピアノと電子音を使用した。電子音は、3 つの素材から成り立っていて、1 つ目は実際に自然と機械文明が共存した場所の近辺に行き録音した。2 つ目は、この曲で使用するピアノの音を抜粋し、編集、加工した。3 つ目はサイン波を使用した。編集、加工にはPro Tools・Logic を使用した。
    〔ピアノ 深山ひろみ〕
  • 渡部礼子 (玉川大学) [fantasy]
    この作品は主に、RTcmix の加算合成とFM 音響合成、IIR フィルターを用いて音響処理を施したホワイト・ノイズやブザー音によって作成されている。それぞれの音の素材の音質や音域を少しずつ変化させて随所に多用することで、曲の展開に広がりを持たせるようにしている。また静かな部分と動きのある部分の対比が表れるよう留意し、異なった個別の素材が有機的な繋がりを持って曲全体を構成するように配慮した。
  • 上野由佳 (玉川大学) [I.F.W]
    今回作成したプログラムは、すべての音を自動的に合成し、その合成された音は同時にリアルタイムで再生される。今回この曲を作成するにあたって主に使用したRTcmix のinstruments は、IIR フィルター、FM 音響合成、加算合成、FLANGE である。この曲を作成する際に意識したのは、あまり調性にとらわれすぎず、無調でどれだけ多彩でおもしろい音ができるか、ということである。また、幅広い音色を使用することで、無調でも飽きがこないよう努めた。
  • 金井勇 (東京音楽大学大学院) [前奏曲 (Prelude)]
    友人でもある詩人のトマ・ブランド氏が私のために書いてくれた短編詩「vertige(眩暈)」からインスピレイションを得て、「vertige(眩 暈)」のタイトルでコンピュータと器楽アンサンブルのための混合作品を作曲し、2006 年3 月に初演の予定であるが、その作品のための、文字通りの「前 奏曲」として作曲した。電子音楽の無限な可能性の中で敢えて限定された素材に対しシンプルな加工を施すことを念頭に、極めて禁欲的な内容に仕上げること を目標としたコンクレート作品である。
  • 渡邊愛 (東京音楽大学大学院) [安宿に泊まる私を照らせ〜professor amibic〜]
    使用された素材は全て自ら録音したものである。曲はノイジーなシーンと声を主とするシーンの2つでかたちづくられている。ただ声の扱いはいわば絶対的なもので内容としてのメッセージ性はなく、無骨な音を重ね連ねる作業を通じて、音に入り込むことで自分を問い、追い込み、対 話する時間が重要であった。よって極めて私的な音楽である。pro-toolsのみで制作されたが、凝ったプラグインは殆どつかっておらず、原始的で直接的な感触を求めた。タイトルは制作時に傍読していた小説よ り拝借した。
  • 市川馨、荒井建、三枝伸太郎、三浦俊介 (東京音楽大学)
    [Manysided angles for voices]

    本作品は、僕ら四人が共同で作り上げた初めての電子音楽作品です。タイトル「Manysided angles for voices」は、コミュニケーションツールとしての声、音響としての声など、「声」という一つのテーマを使うという点では関連を持ちながらも、それぞ れが別々の発想で自由に創作するという意図に基いて名付けました。
  • 市野孝洋 (彩都IMI 大学院スクール) [連打する音楽]
    均一的、機械的に音を連打する。その速度や音色によって音の強度を操作す る。ピアノ・ヴァイオリン・打楽器という生楽器の音源を用いて行うことでメ カニカルな意味合いを強調し、楽曲を構成する上での主要な部分として用い る。音色ではなくフレーズによってどれだけ機械的な印象を引き出せるかを試 みる。
  • 西岡渉 金井学 (情報科学芸術大学院大学 IAMAS) [bouncing bicycle]
    「運動しているときの音」を通して、有るものの存在や、それのある時間に再フォーカス出来れば、物の見方を一つ多く獲得できるのではないかと思います。「運動しているときの音」は日常的に有ったとしても、意識して聞く様なものではありませんから。味があるのか分からない素材を切り出してみる。

  • 山口翔 (静岡文化芸術大学) [Line]
    老人がアルバムを見返す。過去の様々なできごとがすべて記憶となってしまった現実に、老人は孤独を感じて嘆く。そのとき窓の外を一匹のナマズが泳いでいく。それは老人が昔逃がしたもので、過去と現在が別のものではなく、ひとつながりであることを老人に教えてくれる。
  • ビョン ゼェキュ (京都精華大学大学院) [moving panorama]
    回転カメラ装置を利用したパノラマ的視覚実験―運動的視覚造形、ダイナミズム、視覚的なテンポの分節、 点滅する画像と音と分離、再構成される現実の虚像。

::アルゴリズムとからだ展 映像作品

  • 小鷹研理 (情報科学芸術大学院 IAMAS) [運動する眠り]
    私は眠る。その身体は運動する。いつしか、私は真の媒体となる。そもそも、私は物心ついたときより媒体であった。いまや、媒体に生ぜしめられた震えを認識する能力さえ失われた。結局のところ、私はザリガニでしかなくなったのだ。しかし、それは憂うべき自体というほどのものでもない。深夜、生きることと死ぬことと眠ることの境界について考える。明け方、私は眠りにつきザリガニを欲望する。いつしか、私は真の媒体となる。
  • 鈴木剛 (情報科学芸術大学院大学 IAMAS) [around a room]
    女が部屋の中で一人で踊っている。プライベートな空間で自己の行為だけに関心を傾けている。一方でそれを覗き見る男が身を隠している。彼が身を明かさないのは彼女が他人の存在に気づくことによって行為が中断されてしまうことを恐れるからだ。そのため男は、この光景を見ていながら、この世界に属していないという不思議な疎外感を抱え込むことになる。ふたつの密やかな行為が平行したままいつ終わるとも知れない状況を描いた。
  • 早川貴泰 (情報科学芸術大学院大学 IAMAS)
    [「映像表現における時間感覚とアルゴリズムの研究」によるアニメーション]

    IAMAS からだ プロジェクト チーム K.I.T. は、「映像表現における時間感覚とアルゴリズムの研究」と題して研究を行ってきた。その目的は、これまで直感的に決定されてきた、タイムベースドメディア表現における「時間のコンポジション」について、その法則性の有無を探ることであった。そして本作品は、これまでの研究成果を軸に、アニメーションにおける新しい「時間のコンポジション」を模索した実験作である。
  • 白石卓也 (情報科学芸術大学院大学 IAMAS) [Time Sense]
    これまでに「からだプロジェクト」内の研究チームにおいて、映像における人間の時間感覚について研究を行ってきた。今回はそれらの研究を踏まえた上で、従来とは違った新たな時間のコンポジションの方法を探る過程として、特にカットの長さとカットの繋ぎによるリズムに着目して制作を行った。
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