高精細画像方式、いわゆるHD方式による視聴環境での映像表現の創造的研究である。2011年にテレビのアナログ放送がデジタル放送に移行するにあたり、HD方式に対応した多数の映像機器、新型ゲーム機など、急速に高精細な映像視聴環境の普及が予想される。この技術革新は、画質が鮮明に美しくなるといった変化だけでなく、新たな表現形式や視聴形態を生み出す可能性を含んでいると思われる。このプロジェクトは、従来方式との差異に着目しながら、HD方式によって切り開かれる新たな映像表現を見つけることを目標とする。
五十嵐友子「Time-Layer Photography」
任意の時間を有する動画の全フレームを同じ割合(濃さ)で合成した静止画シリーズ。動画と静止画の決定的な違いである「動き」をぼんやりとした輪郭の溶解として捉える本作は、ディスプレイの中で「再生」され続ける。これは、かつて動画であったものの写真である。
高尾俊介「Processing Photography Blink Series」
Processing Photographyとは鑑賞形態を含めたパッケージ型のデジタル写真作品のことです。鑑賞者の視線や振る舞いをウェブカメラ内蔵のラップトップ型コンピュータで読み込み、鑑賞時間へと応用します。鑑賞行為の有り様を取り込むことによって、撮影行為や対象に内在しているダイナミズムをより直接的に鑑賞者へと伝えることを目的としています。
早川貴泰「デジタル・タブロー『えん』」
「えん」は, 「anima(命、魂)」の圧倒的な集積とその間に働く力学である「縁」、その輪廻をモチーフにした、高精細・ループ・アニメーション。また、「デジタルタブロー」は, 映像の品質を保持することを目的として、映像を表示再生機器込みの作品として(つまりビデオインスタレーションという形で)パッケージ化するという独自規格である。