ワークショップの概要:「森の和声法」
    (ワークショップ全体について)


    今回のサマースクールのタイトルである「森の和声法」という言葉にはふたつの思いがある。 和声法という言葉が使われたのは「表現における規則、構造」ということに今年は注目したいからである。音楽におけるコード進行のパターンやリズムの周期性など、音楽に限らず人間が行う表現は必ず複雑な構造を持ち、その構造とは単純化すればコンピュータにおけるアルゴリズムのことに他ならない。昨年の作家達による実作の紹介からさらに発展させ、今年はクラーレンツ・バルローが生みだした、コンピュータなしでは考えられなかった新しい和声論やリズム法を紹介し、それだけではなく、実際に本来アタリSTのためにパスカルで書かれた(!・・知らなくても大丈夫です。)"Autobusk"と名付けられた彼のソフトウェアの要となるアルゴリズムを解明しながらMAXパッチに書き換えてみようと考えている。それは次に述べる実作の準備としても有効かもしれない。

    もうひとつの思いは、今回新しく選ばれた会場、森林文化アカデミーを取り囲む森林からの様々なデータを音楽に取り込み、ワークショップのテーマでもある「トランスフォーメーション」による小品の制作を参加者全員で試みようというものである。自然の中で自然が発するシグナルに注意を傾け、技術的に初心者、上級者を問わずプログラミングの技を駆使したもの、アイデア一発勝負のもの、とにかく手段を選ばず参加者ひとりひとりの感性で何かひとつのまとまった表現を実践してみることが期待されている。




    トランスフォーメンション 画像ー音声ー音楽間のアルゴリズムによる変換技法

    コンピュータ音楽とバルローそして、トランスフォーメーション

    クラーレンス・バルロー:「アヴァン・ミュージック・ガイド」より



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