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ブックソムリエ

あなたに何かを与えてくれる、そんな書籍をセレクトしてご提案する、本のソムリエです。

性別:男性
属性:魔術
ソムリエとの関係:大学の先輩。大学院の同期。

Hageさま
あなたにご紹介する書籍を選んだキーワードは、
「逆転移」です。
[私が永らく読みたいと願っているけど未だ読んでいない本]をセレクトしてみました。
ただし、きっと素晴らしい書籍だろう、という確信のあるものばかりです。
是非読んで感想を下さい。



まずは、アフォリズムに満ちた一冊のご紹介。
「涙と聖者」
E.M.シオラン
ISBN:4-314-00533-5

名言の多いエミール・シオランの一冊。例えば、

『書物は古い傷口を開き、さらには新しい傷をさえもたらすものでなければならない。書物とは一箇の危険であるべきだ』

など、心に止まる一言が多いのです。ちなみに、この本の帯に書いてある一文には痺れます。

痺れる引用1(帯文)
『私たちを聖者たちに近づけるものは認識ではない、それは私たち自身の最深部に睡っている涙の目覚めである』

痺れる引用2
『すべてのものはすでにして存在した。私には生は実体なき波動のように思われる。事物は二度と繰り返されることはなく、私たちはすぎ去ったひとつの世界の反映のなかに生きており、その世界の遅いこだまをひきのばしているように見える。記憶は時間への反証にとどまらない。それはまたこの世界への反逆でもあり、私たちの内部に、ありえたかも知れぬ過去のさまざまの世界と、楽園をもって飾られるそれらの世界の頂点とをぼんやりと啓示するのである』

ただし、論文にこのテンションで臨むと(きっと)大変な事になるので、読む時期には注意されたし。



2
次は上下二册にわたる大作で、大昔の人間を想像する事の出来る本のご紹介。

「トナカイ月 原始の女ヤーナンの物語  上 ・下」
エリザベス・M・トーマス
ISBN:4-7942-0481-7 (上)
ISBN:4-7942-0482-5 (下)

今から二万年前、後期石器時代に生きる人々の生活を描いた力作。
語り手の少女ヤーナンを通じて見る、古代の「種族の系」、そして宗教的な感情のおこり。
簡単にまとめるとそういう事になると思うけれども、もっと多くのことを知る事ができると思います。
著者は文化人類学者なので、歴史ものに類する小説に見られる典型的な感動物語というものではなく、もっと訥々とした地味で強いものがにじみ出ている「リアル」な感じのする作品。
ぱらぱらめくって興味を持ちつつも未だ読み切れず、一度読んでみたいと長い間思っている作品です。
ちなみにアーネスト・ヘミングウェイ賞受賞作。


3
最後は「本の本」をご紹介。
『ペーパーバック大全』
ピート・スフリューデス
ISBN:4794960727

最後はペーパーバックのカバーデザインを追った「本の本」。
〈ポケット〉〈ペンギン〉〈ポピュラー〉〈バンタム〉──名だたるペーパーバックの出版史を追っています。
古書コレクターのHageさんならば『半分は表紙が目的だった』という気持ちが分かるでしょうか。
ちなみに『半分は〜』とは片岡義男の著書の題名。秀逸なコピーだ!


と、私とはフィールドの違う読書経験をつんでいるHageさんに、私のアンテナ上位本を丸投げしてみました。
逆転移という友情の新しい結び方。

感想などあれば聞かせてください。

ではでは。またね。



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