この作品は4つのエピソードで構成したオムニバス映画です。現代の若者の抑えたコミュニケーションを,オーソドックスな映像構造で表現しました。ネットワーク社会と呼ばれる現実空間の,その網目にできた小さなコミュニティーに目を向けて制作しました。ありふれた情景と些細な会話シーンを,フィックスショットで丁寧に切り取り,再構築することで,登場人物の微妙な心理と感情を伝えていきたいと思いました。その為にも,脚本はナラティブ(物語)性を抑えて考えました。また,音はすべて同録で行い,登場人物の台詞と生活の音だけで構成することで,ビデオならではの臨場感を狙いました。主役の福田さんは実生活でも作者の友人であり,話の中には実際のエピソードをもとにしている箇所もあります。このように”福田さん”を取り巻く生活環境,人間関係,生活テンポなどを,映像で見せることで”福田さん”という人格を浮かび上がらせたいと思いました。
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