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観客同志のコミュニケーション作品。「芸術との出会い」が、実は「人と人との出会い」になる作品。
「作品参加スペース」と「作品体験スペース」があり、「参加スペース」では、希望者を、ビデオ撮影と脈拍測定でデータベースにしていく。「体験スペース」では、観客が脈拍計を指に取り付けると、この作品をそれ以前に観に来た他の観客(「参加スペース」での参加者)との出会いを、映像上でコンピュータによって導く。「体験スペース」の二つのスクリーンには、観客の映像のデータベースを、観客の脈拍音でシャッフルさせながら、脈拍データの似た二人が検索され、向かい合わせで登場。さらに、この二人のうち、よりよく似た脈拍データの方が一人選ばれ、観客の方に振り向いて見つめる。つまり、作品を体験するときの、同じ脈拍の状態の観客と、時を越えて映像上で出会う。又、外国でも作品を発表すれば、言葉や人種にかかわらないコミュニケーションができる。
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「バイオ インターフェイス」とは
コンピュータのインターフェイスは、表現したいという感情を比較的冷静にしか受け入れることができないのが主流である。コンピュータは本来ロジカルなため、その直観的な人間の感性の曖昧さや無意識的な動作を充分に受け入れることができない。そこで、「バイオ インターフェイス シリーズ」では、例えば、観客の脈拍や呼吸などの身体の変化を感知して、データとしてコンピュータに入力し、それをもとに作品を変化させていく。つまり、人間が意識的に操作するコンピュータのインターフェイスではなく、観客の生理的な変化やリズムを計測しながら、リアルタイムにそれにリンクして作品が変化していくのである。芸術や創造の、混沌とした魅力が直接反映されるとまではいかないが、脈拍などの意識的とも無意識的とも言えない作用を作品に関係させることで、心や感性といった人間の本質の情報コミュニケーションへと一歩踏みだそうとした表現を模索している。
「バイオ インターフェイス」による一連の作品は、閉じた虚構世界の中から抜け出るように、作者と観客と作品(出演者)との関係の変化や意識化を促す。「あなたの鼓動が私を動かした/私の鼓動があなたを動かした」では、作者と観客とのあいだの「感動」そのものをアイロニカルに表現したものと言えるし、「ファースト バイオ キッス」では、出演者と観客との関係が意識化され、「あなたは誰かとドウキした」では、すれちがった観客同志の関係が科学的な分析によってシャッフルされる。このように、作品に観客自身の生命的アクチュアリティをリアルタイムに仲介し、観客や作者や作品の「運命」をひきよせるような感動的な力の可能性への幻想が核となっている。デジタル化による社会においても、フェイストゥフェイスのコミュニケーションは、改めて重要であり、新しいテクノロジーと人間の生命をどのように融合させていくかを問題提起しているといえる。
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other bio-interface series |
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「ファースト バイオ キッス」
観客がドキドキしないと映像中の男女は、永遠にキスできな
い。愛の運命を占うがごとく、映像はシュールな雰囲気を醸
し出しながら、観客の心拍リズムにリンクして変化する。
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「スパイラル ライフ」
アナログ インタラクティブ インターフェイス シリーズ作品。観客が映像を回転させたり手や指を動かしたりすると、映像が生命体のようにカオスティックに変化する。
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「あなたの吐息が私を描かせた」
ため息をつくと幸せは逃げるのだろうか。観客が呼吸計測器に息を吹きかけると、映像の手は、狂ったように描き始める。そして、作者の運命を暗示するようにして絵は完成する。
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「あなたの鼓動が私を動かした」
死んだような手の静止映像を、観客の指先からの鼓動で脈打つように動かしてゆく。すると、大きな瞳の映像が現れ、心拍音とリンクして動きながら、あなたを見つめる。
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「私の鼓動があなたを動かした」
作者の心拍を電波で飛ばし、その心拍にあわせて動くビデオフィードバック映像を、観客の手の動きによって生き物のように変化させていく。
(ギャラリーはねうさぎ/京都にて)
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酒井章憲 Shoken SAKAI
ラボ科2年 |
京都市立芸術大学大学院美術研究科修了。
映像、サウンド、コンピュータなど様々なメディアを使って 表現活動を展開中。
最近の主な作品発表は、
第9回芸術祭典・京「SKIN-DIVE」
パナソニック・デジタル・アート・スクエアでの個展
「運命への バイオ インターフェイス」
ラフォーレ原宿ミュージアムでの「大アート展」等。
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