RoboCup Infrastructure Research
ロボカップは、人間と協調して活動可能な人工知能、自律ロボットの創造を目指して1996年に日本の数人の研究者が提唱して始まった国際プロジェクトである。
本プロジェクトは当初からこのプロジェクトに参加し、ロボカップを題材として効果的にその情報を提示するための自律システムの開発を行なっている。それぞれの状況に合わせ、題材の内容を最適な状態で示す事が可能な表示システムの開発が目標である。




1. 試合中の多種多様な情報を、選手やボールの動きなど特徴によって分類する。



2. その中からゴールやパスなどの主要な情報のみを抜きだす。



3. 受け手の環境に合わせて、主要な情報から優先的に送信する。通信速度が遅いときには、画像をワイヤーフレームや静止画に落とすなどの処理を自動的に行う。

RoboCup Rescue Project
ロボカッププロジェクトにおいて集った研究者と1999年より大規模災害を対象とした救命・救助システムの開発プロジェクトを開始した。このプロジェクトにおいて、救命・救助活動を実施する救助隊が、救命・救助ロボットと円滑に協調活動を行なえるためのウェアラブルシステムの開発を進めている。大規模シミュレータ、GIS、様々な予測モデルと連動したウェアラブルシステムにより、現状より迅速且つ効果的な救命・救助活動が行なえることが期待されている。


人間とその周囲の環境との関係をサポートするインテリジェントシステムの構築が、本プロジェクトの目的である。その特性は、「必要な情報を必要な状況で」という一言で示すことができる。現在、われわれは多種多様な情報にさらされており、何が必要で何が不要なのか、瞬時に判断することは極めて難しい。その解決策として、その人にとって最も重要な情報を、必要な時に、必要なかたちで伝えることのできる、理想的な伝達方法の開発が欠かせない。
このためには、環境の変動に対処するような冗長性を兼ね備えた分散型知能システムが必要である。人間の周囲を取り巻く環境は、常に変化している。いつもと同じ道を歩く、ということ一つにさえ、日々異なった状況が生まれている。その変化に対し、我々人間は当然のように対処しているが、コンピュータの場合は、発生する可能性がある全ての事態を、予めシステム内に記述しておくことは不可能である。そこで、実世界で駆動するシステムを構築する場合には、従来のような、巨大な演算能力や詳細なデータベースではなく、自分自身を自律的に制御できる能力が不可欠である。たとえば、目の前の変化に即座に対応できる「リアルタイム学習能力」や、小さな入力の変化を無視して的確な判断を行うための「リアルワールド・インターフェイス」などが重要な要素である。
このようなインテリジェント・システムは、鉄腕アトムに代表されるような、従来の人工知能のイメージと大きく異なっているかもしれない。しかし、われわれの構想する、小さくて目にみえないシステム、いわば「役にたつ小人さん」として、人の日常生活を助けてくれるようなシステムこそが、我々の行為の可能性を広げ、本当の意味での「人に優しいインターフェイス・空間」を実現できると信じている。






■ AI(Artificial Inteligence)
AI 人工知能は、人間と同じように物事を判断し考える知能を持った知能のことをさして作られた言葉。このような人工知能は実現されていない。チェスの世界チャンピオンに勝ったDeep Blueはデータベースのお化けであり知能があるわけではなく、今まで知らなかったことを対処することは原則的に不可能である。今は、人工知能という言葉にも様々な解釈がある。(神成淳司)

■ ウェアラブルシステム
人間が身につけるような大きさを持ち、人間の行動をサポートする、コンピューターを中心としたシステム。その目ざす方向性は様々であるが、共通項を拾うならば各個人の属性を表すものでもある衣服との形態そして機能両面での融合と拡張が目ざされていると言えるかもしれない。(annual)

■ 最近の論文
  • A. Shinjoh, S. Yoshida et al.: ``Wearable system for the Disaster Mitigation Problem: A Mission Critical Man-Machine interface of the RoboCup-Rescue Simulator'', Proc. of International Conference on Artificial Reality and Tele-Existence(ICAT-99), 1999.
  • A. Shinjoh, S. Yoshida: ``Autonomous Information Indication System'',Proc. of the IJCAI-99 Workshop on RoboCup, 1999.
  • 吉田茂樹, 神成淳司:RoboCup3次元表示システムの拡張と最適ネットワーク流量制御機構. 第4回AIチャレンジ研究会 pp33 - 38. 1999.



  • 神成 淳司
    Atsushi SHINJO

    助手

    1971年 静岡県生まれ
    1994年 慶應義塾大学環境情報学部卒業
    1996年 同大学政策・メディア研究科修士課程修了
    1996年 - 1999年 (財)ソフトピアジャパン研究開発部研究員