加速度センサを用いた新しいインターフェイス。
床からのびるポールの上にバネが取り付けられて、液晶ディスプレイが水平に設置されている。 液晶ディスプレイはバネを軸に自由な動きが可能でその動きを加速度センサが読みとって表示が変化する。 床の下にはスピーカーが設置されており、画面の変化に応じて音が発生する。



現在、日常的にキーボードやマウスでコンピュータ世界を操作している行為は、外部 入力デバイスを利用したもので、あらかじめ決められたコマンドにより入力する行為 である。これは我々がコンピュータルールに制約されているともいえ、操作方法を習 得した人のみが可能な行為である。そこで、これら外部入力デバイスをなくし、直接 ディスプレイに触れて動かすことで画面操作を行う。この作品はもともとセンサーワ ークショップでの習作から発展したものだが、ディスプレイを直接動かし画面を操作 することには予想以上の快感が伴う。私達がコンピュータの中の情報を操作するには なんらかの物理的な“モノ”が必要になるが、このシステムでは両者の距離が近く感 じられるのだろう。より直感的にコンピュータを操作できる新しいインターフェース システムとしてこれを提案する。
コンテンツに関しては、物理現象の再構築をすることをテーマに制作した。ディスプレイを傾けると表示空間が傾く。このシステムを分かりやすく提示するため『MAZE』 『CUBE』『SAND』の3種類を用意した。コンテンツは自由に変えることが可能で、 これからも発展の余地がある。障害者を対象としたデバイスやナビゲートシステムと して利用することも考えられる。

『CUBE』(纐纈大輝)

ディスプレイを動かしCUBEを転がすことで、 CUBEの軌跡があらわれ時間とともに消えたり、 ピアノを演奏することができる。異なる特性を持った4面の壁が立ちあがっている空間にCUBEは存在し、 強くディスプレイを傾けると壁が倒れその空間の特性が変化する。

『MAZE』(石橋素)

『G-Display』のシステムの特性をわかりやすく提示するために、 むかし誰もがやったことがあるであろう迷路ゲームを作成した。 迷路の穴にボールを落とすと迷路がひっくり返り、また新しい迷路があらわれる。

『SAND』(石橋素)

ゲームにもナビゲーションにもルールがある。これは、決められたルールを持たない万華鏡のような作品である。画面を傾けるとたくさんの青い粒が転がる。砂のようにも、泡のようにも見える。しばらく放っておくと、粒はまたもとの位置に戻りはじめる。


■ インターフェイス
インターフェイスとは、仲介をするもののことである。今 回作成したインターフェイスは、二つの機能を有している。一つは、傾きとい う物理的情報量をコンピュータで扱える電気信号に変換する機能で、これによ り両者を接続している。もう一つは、コンピュータの画像データを人の目に見 えるように表示するという機能である。(小林 孝浩)



纐纈 大輝
Motoki KOKETSU

ラボ科1年

1976年生まれ
1999年京都工芸繊維大学工芸学部造形工学科建築コース卒業



石橋 素
Motoi ISHIBASHI

ラボ科1年

1975年生まれ
1999年東京工業大学工学部卒業