正直に言えば、僕にとって写真を撮るという事は、今のところはまだ、自然な行為ではありません。
カメラは当然肉体の一部ではないし、ピントと露出をあわせ、シャッターを押す、という行為は生活上の必然からは遠いところにあると思います。しかし、僕の中には、シャッターを押したい、という欲求が存在するのも事実です。
これらの3つの写真は、僕自身がそういう欲求に気付くきっかけとなった作品です。3つとも、ごく個人的な視点で、僕に近い被写体を撮っています。偶然撮れたものもあるし、ある程度計算しているものもあります。個人的な物事を、写真として他人に見せること、つまり僕の視点を見せることは、シャッターを押したい、と思うことの延長にあるのだ、と感じます。撮りたい、という欲求は、見たい、という欲求なのかもしれません。僕は、なぜ、写真を撮るのか、と聞かれても、なぜでしょうね、としか言えません。それは、なぜ、赤い色が好きなんですか、とか、どうしてタラコスパゲティが食べたいんですか、というような質問と似ています。自分でも不思議だなぁと思いますが、最近は、それでもいいかなぁ、と思いはじめています。
一日も早く、「僕にとって写真を撮る事は、自然な行為です」と言い切れるように、がんばります。



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池田 秦教
Yasunori IKEDA

スタジオ科1年

1976年生まれ
1999年カメラ購入