アニメーションBBSのプロジェクト 。




我々はデジタルコミュニケーションの量を伝送bit数により計量することができるが、当然ながら必ずしもbit数の多いコミュニケーションが実り大きものとは限らない。コミュニケーションは多かれ少なかれ送り手と受け手の共通の認識(或いはそのズレ)に依存しており、それに応じて少ない情報量でも多彩な物事を伝達する事が出来るのである─俳句や短歌、或いは「?」と「!」のような短い手紙のやり取りが示すように。
このプロジェクトではデジタルコミュニケーションに於けるそうしたバックグラウンドの役割を顕在化する試みである。

WEBプロジェクトとしてスタートしたbit-hikeは、Javaによるアニメーション・エディタとBBSを組み合わせたシステムである。参加者はエディタを使用して8×8ドット×8フレーム(計64バイト)のエンドレス・ループ・アニメーションを制作し、サーバに投稿する事ができる。また、蓄積された作品の閲覧も可能である。
 8×8×8bitという極めて限定されたフォーマットは、アニメーション制作者が自ずとそれを見る人のイマジネーションを喚起するようなフォルム/ムーブメントを模索するようにとの配慮で採用した。

bithike. : http://www.vector-scan.com/bithike/


■ [8×8×8]
モノクロのビットマップについて考えると、1×1のマトリクスは白/黒の2通りに塗り分けられる。これを縦横それぞれ2等分し、2×2にすると、塗り分けの順列組み合わせは16通り。同様にして4×4の場合、65536通り。そして8×8では1.08×1019通りとなる。 この段階で、組み合わせの総数が日常的感覚を越える。この数を見る限り、8×8のマトリクスの塗り分けは、レディメイドの選択というよりは創造行為に近いと言って良さそうである。

■ bit-hikeの別ヴァージョン
写真はBBSの別ヴァージョンとして制作した、表示記と編集器。






クワクボリョウタ
Ryota KUWAKUBO

ラボ科1年

1971年生まれ
筑波大学大学院修士課程総合造形コース修了
デジタル作品制作のほかアーチストのテクニカルサポート、オモチャ開発など。明和電機に「研修生」として参加。
1999年現在ラボ科1年在学中