Miragescopeとは、"幻想をのぞくことの出来る装置"という意味の造語です。ディジタル技術によって可能となった複雑な編集、合成や画像処理を用いて、幻想的、非現実的な世界の構築と映像の新たな表現を模索する目的から始まった、実験的な作品制作を行った番組です。




映像においてモンタージュと呼ばれるカットのつながりから意味が生まれるという文法がありますが、一つの画面の中に二つの絵を重ねたり、一つのカットでもずらして重ねることや違う視点からの映像を重ねることで、新しい映像の意味を生み出せるのではないか。そういう思いつきから、オーバーラップをベースにした絵づくりによる実験的な映像を作り始めました。制作プロセスに関しても、ストーリーをベースに映像を組み立てていく従来の制作のプロセスではなく、イメージから映像を組み立てるというイメージ優先のプロセスによって制作しました。 個々の作品を通して伝えたいテーマと、新しいディジタル技術によって生まれた表現が、時には絡み合い、時には共鳴しながら、絵に、音に、言葉に直接することの出来ない感覚的な気持ちや思いを観客へ届けたい、今まで見たことのない映像、そして表現の可能性を提示したい、そういうコンセプトの上で制作しました。

vol.1 Flow

目を覚ました少女がその世界に戸惑いながら外に出ると、そこには自身の形状を保てない人々が彷徨っている―。水をモチーフに、少女の揺れる精神状態を表現している。非現実的世界を表現するため、ブルーマットによる合成を応用。

vol.2 [re:]

主人公はふと頭をよぎったある記憶に導かれるように外へ出る。エレベーターに乗りドアがあくと主人公はその記憶の世界に立っていた。空間が、時間が、視点が何度も入れ替わる中で彼はいくつもの場面を追体験する。記憶を辿るプロセスを多重合成によって視覚化。

vol.3 enter your name

友人が消えてしまった出来事をきっかけに、人の生死、肉体と意識、記憶と忘却、自己と他人の境界など、様々なことが頭を巡り始め、流れ行く時間とともにアイデンティティを模索する青年を描く。意識の世界のビジュアライゼーション。

MOVIE : Miragescope




村上 寛光
Hiromitsu MURAKAMI

ラボ科2年

1975年横浜生まれ
東京工芸大学芸術学部映像学科卒業


南方 祐紀
Yuki MINAMIKATA

ラボ科2年

1975年大垣生まれ
東京造形大学造形学部デザイン学科卒業


上山 朋子
Tomoko UEYAMA

ラボ科2年

1972年生まれ
1995年大阪芸術大学芸術学部舞台芸術学科卒業


さかいれいしう
Reisiu SAKAI

スタジオ科2年

1974年生まれ
武蔵野音楽大学声楽学科卒業