岐阜県美術館[展示室2]
The Museum of Fine Arts, Gifu
主催:岐阜県美術館、情報科学芸術大学院大学[IAMAS]
2025年1月10日 |金| - 3月9日 |日|
10:00-18:00 [展示室の入場は閉館の30分前まで]
休館日:月曜日 [祝日の場合はその翌平日]
夜間開館日:2025年1月17日 |金| 、2月21日 |金| は 20:00まで開館 [入場は19:30まで]
観覧料:一般340円(280円)、大学生220円(160円)、高校生以下は無料
岐阜県美術館と情報科学芸術大学院大学[IAMAS]の連携事業で、本展「繭/COCOON」はその第10回目となる。
パリ第8大学名誉教授。1980年代からメディア・アートの分野で、アーティスト、研究者、キュレーターとして活動。1997年にIAMASで実施したワークショップをはじめとし、IAMAS教員や学生と数多くの協働歴がある。ルソーの著作の解釈やモノの生と記憶を扱う作品を制作。主著に『L'écran comme mobile』など。
アートにインタラクティブ性を導入した先駆者の一人として、80年代以降に普及したニューメディアを手段に新たな芸術体験を追求してきた。本展では「蕎麦猪口」という日本的な器について、その文化性・芸術性・技術性を問うプロジェクト《(digital) Soba Choko》の研究成果を展示する。タイトルの「digital」は「数」と「指」にかんする両義的な意味をもつ。本作は、このオブジェが伝統的に人々の手技による陶器として作られると同時に、その截頭錐体(せっとうすいたい)の寸法が安定した比率(高さ:底辺:幅=6:6:8)をもつことに着目する。わたしたちが「技術」と呼ぶもの――「テクノロジー」と工芸的な技芸――は、その根源において、わたしたちのものづくりにいかに関わるのか。
IAMAS教授。電子回路を素材とした「デバイス・アート」の代表作に《ビットマン》(1998)、《PLX》(2000)、《ニコダマ》(2010)などがある。2010年《10番目の感傷(点・線・面)》で第14回文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞。以後、光と影による内的な体験を促すインスタレーションを制作。パーフェクトロンとして「デザインあ展」(2018)の展示構成などを手がける。
2010年の《10番目の感傷(点・線・面)》に端を発する光と影による表現は、《Lost》シリーズとして展開し、これまで世界中で実現されてきた。日用品や鉄道模型によって形作られるこのシリーズは、作家による特定のアイディアに依拠しながら、その作品群は唯一の形にとどまらず、無数のヴァリアント[異形]が展開されてきた。あるアイディアによって作られた作品は、作品をとりまく環境そのものをダイナミックに変化させ、それ自身もまた変容することをやめない。展覧会のエコロジーとは何か、作品を生態学的に探求するとはいかなることか。クワクボは、本展をこうした問いへの応答の契機と解釈し、ヴァリエーションの制作に挑む。
2007年IAMAS修了。ネコや縄目の文様が無限に増殖し画面を埋め尽くすような、精緻な作品に取り組む。国際芸術コンペティション「アートオリンピア」審査員特別賞(建畠晢)受賞(2015)。個展に「超絶のボールペン画無数のネコたち」(天満屋岡山本店・福山店、2020)、「意気猫々」(ギャルリー宮脇、京都、2021)、吉村大星との二人展に「ミクロの猫と巨大な猫」(瀬戸内市立美術館、2020)など。国際交流基金海外巡回展「超絶技巧の日本」出品中(2018-)。
西脇直毅の絵画世界では、微小なネコが増殖し、数えきれないほど集まって流れを成す。ネコは異なる動物と出会い、あるときは渦を巻き青海波のような文様と有機的に接続しながら、紙面を埋め尽くす。こうしたアクションは、人類の伝統的な表現としての「文様」の生成になぞらえることができる。文様は特定の意味を帯びた単なる装飾にあらず、世界とわたしたちを直接的に結びつける。2024年から新しく取り組む《刺青の女》シリーズでは、西脇は使い慣れたボールペンのグリップを離れ、液晶タブレットとペンを用いてデジタルの皮膚に文様をほどこす。「文身」(イレズミ)が身体を世界から聖別するものであったように、現代のテクノロジーを通じて描かれる西脇の文様もまた、わたしたちに世界の裂け目を垣間見せる「わざ」である。
美術家のフロリアン・ガデンと、美学・芸術学を研究領域とするIAMAS准教授の大久保美紀によるユニット。生態系の複雑性に着目し、エコロジー問題に対峙する表現活動を続ける。第10回500m美術館賞グランプリ賞(2023)、清流の国ぎふ Art Award in the CUBE 2023入選。ガデンは第27回岡本太郎現代芸術賞特別賞受賞(2024)。大久保は西枝財団2024年度「瑞雲庵における若手創造者支援プログラム」に採択され、展覧会「遍在、不死、メタモルフォーゼ」を企画。
ガデンと大久保は、わたしたちが自身を取り巻く世界との関係を新しく結び直すための糸口を模索する。非人間存在との関係を再考するブリュノ・ラトゥールの「モノの議会」や、技術の人間固有性から脱却するエマヌエーレ・コッチャの繭の理論、木々を見る慣習的な視点を覆すフランシス・アレの絵画論を参照しながら、エコロジー問題への対峙を軸に、日常を新しく生きる芸術的アプローチを追究する。その試みは、生態系の自生にかんする実験的な生物彫刻、生の関係性としての「食」をめぐる表現、生態系における複雑な関係性を多角的に再構成した絵画作品として展開されてきた。本展では木々の世界をめぐるインスタレーションに取り組み、わたしたちと非人間存在の「生の技術」を思考する。
2023年IAMAS博士後期課程入学。大学では生物学を学ぶ。現代的な科学やテクノロジーの視点から、品種改良種や人工知能、文字などの自然と人為の境界に位置する対象の性質、構造、来歴に迫る実践を行う。2012年より早稲田大学生命美学プラットフォーム“metaPhorest”に所属。現在は生物学にまつわる芸術の研究と制作を行う。主な受賞に文化庁メディア芸術祭優秀賞(2021)、第25回岡本太郎現代芸術賞入選(2022)など。
人類が1700年かけて愛玩用に造形してきた金魚を祖先であるフナの姿に戻すというチャレンジ、都市や森のランドスケープのなかに見出される言語の幾何学的パターンを人工知能によって再認するというアイディア、川で拾得した廃棄物から制作した顕微鏡を用いて川の有機的環境を覗き見るというアクション。石橋のアプローチは、わたしたち人間とそれを取り巻く環境との関係や、わたしたちが世界を生きる手段である技術について、思考を新たにするよう挑発する。品種改良によって作られた種は自然の一部たりうるのか、人工物と自然物のあいだに本質的な差異はあるのか、わたしたちが〈ものを作る〉とはいかなる営為なのかを問う。
1月11日 |土| 14:00 - 15:30
岐阜県美術館 展示室2
在廊作家 : ジャン=ルイ・ボワシエ、クワクボリョウタ、フロリアン・ガデン(florian gadenne+miki okubo)、 石橋友也
1月17日 |金| 18:30 - 19:00
1月19日 |日| 14:00 - 15:30
詳細は岐阜県美術館ウェブサイトでご確認ください。
3月8日 |土| 14:00 - 15:30
出演作家:クワクボリョウタ、大久保美紀(florian gadenne+miki okubo)
https://kenbi.pref.gifu.lg.jp
〒500-8368 岐阜県岐阜市宇佐4-1-22 Tel. 058-271-1313
県図書館地下駐車場、美術館・図書館東駐車場または西駐車場をご利用ください。(無料)
※美術館北東の「おもいやり駐車場」(6台)もご利用いただけます。(無料)