作品・プロジェクト

Eye

2013

「死後の世界から見つめる」という考えのもと「Eye」シリーズは始まった。眼球にはカメラで言う所のレンズの機能を担う水晶体という組織がある。「Eye」では死んだブタの眼球から取り出した水晶体を用いて、レンズとして光を屈折させ像を映し出している。水晶体が”移植”されたカメラを中心とする今作の「Eye」機械装置は、水晶体が向ける視線の先にある鏡によってそのカメラと水晶体からなる機械そのものを見つめ返している。それはまるで鏡の前に立ち自己像を見つめるような状況だ。鮮明な像を映し出していた水晶体は、時間と共に朽ちて行き、レンズとしての機能を失う。映し出されていた像は歪み、そして消失する。その最中に結ばれる光の像を段階的に記録し続けた。「死」の先にあるレンズとしての「眼」が映し出す世界はどのように見え、いかにして消えていくのだろうか。