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08年01月21日[IAMAS2008コラム]先生の目線:第二回

今回コメントをいただいたのは、大学院スタジオ1准教授・鈴木宣也先生です。
鈴木先生は第一回でご紹介した小林先生と同じく、IAMAS2008の担当教員として参加していただいています。また、今回はIAMAS開学当時を知る数少ない先生の一人として過去の卒展や同時開催したインタラクション展についてのお話していただきました。

[鈴木先生のコメント]
少し昔話をしよう。
最初の卒展は1998年の2月に開催されました。今では卒展が4日間と思われていますが、実は最初の年は2月10日から24日までなんと15日間も開催していたのです。岐阜おおがきビエンナーレと同じ日数であることを考えると、当時、卒展がIAMAS内のイベントにおいて、いかに重要度の高いものであったかがわかると思います。特に最初の卒業生を出すまで我々教員は、教育体制を随時見直しながら手探りで進まざるをえず、また、これまでにない新しい学校を作ろうという強い意気込みもありました。しかしながら会場は決まっていたものの、卒展の運営に関し考えが及ばず、しかも最も大きな問題はIAMASの卒業制作はどうあるべきか議論しながら模索していたのを記憶しています。

interaction99_01interaction_02そのような状況であったので、実は最初の卒展の記録というものがほとんど残っていません。写真や映像、印刷物といったものはあるにはありますが、使用に耐えないレベルのものです。運が良いことに、2回目はインタラクション’99展(写真参照)と共催することになり、ポスターとパンフレットを製作することができました。さらに、世界中から集められたメディアアートと学生の作品が、別会場ではありますが同列に展示され、インタラクション展を見に来た人は卒展にも足を運び、その結果IAMASの卒展が広く認知されることになりました。学生の作品は、もちろんクオリティやコンセプトにおいてインタラクション展の作品に及ばないまでも、それに匹敵する、あるいは発想や展開が面白いと好評を得ることができました。
他の学校の人はよく驚かれますが、卒展はすべてを学生が企画し実施しています。我々教員はそのお手伝いという控えめな立場です。開催期間は以前より短くなったものの来場者数は年々増加し続け、東京や大阪から、あるいは海外からも来るようになりました。最近はリクルート活動の一環として来場する企業の方も訪れるようになりました。作品の良さはもちろんのこと、卒展全体の会場設営やデザインなど学生が一丸となり作り上げた結果によるところはたいへん大きく、こうした活動が年々蓄積され引き継がれたからだと思います。
そして今年の卒展はどうかと言えば、学生一人一人がそれぞれの役割をこなし、着実に計画が進んでいます。これは過去の積み重ねが大きく影響していると同時に、私が知る限り、卒展委員のチームワークの良さと運営能力の高さは一番であるからだと思います。つまり、IAMASの卒展は仕組みとして毎年最良の卒展が開催されるようになっているわけですが、今年はチームワークの良さが加わることになると考えると少しワクワクします。

宣伝と思い少し学生を持ち上げてみましたが、本当のところ親馬鹿でもお世辞でもなく、スムーズに進んでいることは事実です。最後に落としておくと、卒展は設えだけではなく、やはり中身が一番重要です。卒業制作や研究も手を抜かずにしっかりと最後まで仕上げてもらいたいと思います。
さて、結果は卒展に来てのお楽しみ。

情報科学芸術大学院大学
スタジオ1 准教授
鈴木 宣也

鈴木先生、ありがとうございました。