デビッド・スモール/トム・ホワイト

デビッド・スモールは、最近MITメディアラボで「書物再考」というタイトルの博士論文を完成した。3次元の風景の中の、ダイナミックな3Dのタイポグラフィーについての研究を、初めは学生として、後にミュリエル・クーパー(視覚言語ワークショップの創設者)との共同で開始。複雑な情報システム設計の中で、特に仮想のオブジェクトを操作するための新しい物理的なインターフェイスの構築に向かう。 スモールの作品は雑誌「サイエンティフィック・アメリカン」、「プリント」、「コミュニケーション・アート」、「アトランティック・マンスリー」、「IDマガジン第42回デザインレビュー」および「インフォメーション・アーキテクツ」ウルマン著、に掲載されている。また、IBMやLEGO、ナイキといった企業のためにインタラクティブな情報システムを設計している。

トム・ホワイトは、MITメディアラボのコンピュータ美学グループに属し、ジョン・前田教授の下で博士過程の研究を続行中。そのテーマは、コンピュータメディアを用いた新しいコミュニケーションを方法を作ることで、新しいハードウェアデバイスのデザインを伴うものが多い。修士論文は「液体の触覚」として知られる新たな一群のインターフェイスに着目したもの。「意識の流れ」はこの「液体の触覚」デバイスを使って、流れる単語と戯れることができる。

[意識の流れ]

この作品はインタラクティブな詩的な庭であり、文字通り単語の泉である。水は一連の段差を流れ落ち、池に流入する。池の表面には、流れに浮かぶ木の葉のように、投写された単語がもつれながら浮いている。水たまりのそばに座って―ただし水に手を入れることなく―せきとめたり、かきまぜたりして、単語の流れをコントロールすることができる。それは単語を長くのばして新しい単語に分割するが、ついには排水溝に吸い込まれ、再び汲み上げられて流れの始まりからもう一度流れ落ちる。この庭は、MITメディアラボのコンピュータ美学グループにおいて、ジョン・前田教授の指導の下で行われている、新しい表現力を持ったコンピュータメディアを形づくるための実験の1つである。
水は庭の後方から、一連の澱みを経て流れ落ち、最後に四角い池に達する。この大きな池は白いサンゴの砕片で縁取られていて、水はここでゆっくりと流れ、後方の縁からこぼれ落ちる。単語は水とともに岩の間を流れ落ち、浅い池を穏やかに通り抜け、再び水とともに流れの開始点に魔法のように現われる。単語は実際の泉の上に浮かんだ木の葉のように、物理的な振舞いを模倣したものである。観客はベンチに座って、特別なインターフェイスに手で触れて単語の流れを止めたり、押しやったり引き戻したり、そしてついには単語自体の内容を変えたりと、言葉と戯れる。
この庭はSGIのO2ワークステーションと、ポプラ、銅、河川石、ビデオカメラ、醤油の入った袋、竹によって作られている。ソフトウェアはすべてスモールとホワイトによってC++で書かれている。この研究の一部は、メディアラボの「考えるもの」と「未来のニュース」コンソーシアムの助成を受けている。

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