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2006.09.13

じゃんけん:運の力
 「じゃんけん」は何かを決めるのに困ったときに行う遊びです。語源とされている仏教用語「料簡法意(りゃんけんほうい)」が示すように、それは人間の合理的思慮(料簡)では解決できない課題に対して、宇宙的な意思(法意)を介入させる行為です。「じゃんけん」は「グー」「チョキ」「パー」という三つの要素からなる「三すくみ」という構造を持っています。強い者に一人勝ちを許してしまう現代のグローバル経済とは異なり、「じゃんけん」には最終的な勝者はおらず、勝ち負けは世界を循環してゆくものだという世界観に基づいています。
 「予定」や「計画」に対して、そこに介入する「偶然」「運」という要素。科学や芸術、そして私たちの人生における、思いがけない展開と発見(セレンディピティ)。「おおがきビエンナーレ2006」では、そうした「運」の力が端的に現れる身近な遊びとしての「じゃんけん」をとりあげ、そこに働いている三項性(グー、チョキ、パー)が、コイン投げ(表/裏)のような二項性と異なり、世界の流動的・循環的構造を神話的に象徴していることに注目します。そして我々が身近に接する自然環境や経済社会などのあらゆる領域において循環構造が、普遍的な課題であることを意識しあおうというものです。

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マルシア・ヴァイツマン「Janken: No Winning Game」

Date: 2006.09.13 04:18 |