サラマンカ電子音響音楽祭
日本有数のクラシック音楽ホールとIAMASの初の連携は、「未来の音楽・文化」を提案する音楽祭
岐阜にある日本有数のクラシック音楽ホール「サラマンカホール」とIAMASとが初めて連携し、国内外の電子音響音楽関係アーティストや研究者を一堂に集め、「未来の音楽・文化」を提案する音楽祭を実施しました。「歴史・現在・子供たちへ」をキーワードに3日間にわたって、サラマンカホールをメイン会場に、8つのコンサートと6つの関連イベントを実施しました。
プロジェクトの目的
「メディア・アート」という言葉が一般化し、(電力・)電子化された現代社会における私たちの新しい文化や芸術の在り方が模索される中、電子音響音楽(Electro Acoustic Music)はその歴史的な考証と共に近年、新たな展開を見せつつある。それは、他の様々な分野と同様、生まれた時から高度なテクノロジーが「すでにそこにあった」世代にとって「装置による表現」こそがもっとも身近なものであり、何かを考え、伝える立脚点となっているからに違いないからである。
「歴史・現在・子供たちへ」をテーマに掲げた3日間わたるこのフェスティバルでは、最新のデジタル技術による現代の作曲家達による新作初演はもとより、電子音響音楽黎明期の歴史的名作の紹介、ゲスト・アーティストによるバフォーマンス、未来の音楽文化を考えるシンボジウム、そして子供たちに向けたワークショッブなどが開催され、それらは音楽の専門家のみならず、この分野に親しみの少なかった多くの人々にも「装置による音楽・芸術」の楽しさと可能性を体験する機会となるだろう。それはまた、テクノロジーを用いた様々な「人間の表現」が、逆にテクノロジーそのものを逆照射し、人間にとってのテクノロジー、延いては私たちの文化というものを再考するための貴重な契機となるはずである。
今回、長良川のほとりに位置し、その美しい響きで知られるサラマンカホールを会場とすることは、サラマンカホールが西洋音楽の歴史を伝え、未来の音楽を発信する「場」であることを示すものである。同時に、この催しは、日本では珍しい「クラシック音楽の舞台での電子音響音楽祭」であり、この分野における国内最大のイベントとなる。
連携のプロセス
連携のきっかけ
先端的技術と芸術的創造との融合を掲げてきたIAMASと同じ岐阜県内のサラマンカホールは、JSEM(日本電子音楽協会)とJSSA(先端芸術音楽創作学会)の全面 的な協力を得、国内外の電子音響音楽関係アーティストや研究者を一同に集めて「サラマンカホール電子音響音楽祭」は開催された。
以前からサラマンカホールより作曲家として三輪眞弘との連携企画の提案があり、それに応える形で今回のフェスティバルは計画された。加えてIAMAS主催のワークショッブをはじめ、岐阜県立美術館との連携によるサテライトコンサートや展覧会なども同時開催された。
具体的な進め方
2014年度
5月:サラマンカホールより企画の初打ち合わせ
7月:JSSA、JSEM幹部に共催の打診
8月:IAMAS学内に企画を周知
9月:制作協力会社と打ち合わせ
10月:助成金申請
2015年度
1月:最初のフェスティバル原案を作成、協力団体会員に告知
3月:関係者用MLを作成
5月:SNS 専用ベージ開設
6月:リーフレット、ウェブサイト完成
9月11日〜13日:フェスティバル本番
IAMASの関わり方
サラマンカホールとの共同主催団体としてフェスティバル全体の企画や機材の貸出に協力し、その他、関連イベントやワークショッブを企画、実施した。
連携の成果
入場者数は、1日目計168人、2日目計235人、3日目計233人で、ほぼ期待した来場者数だった。また、県内のみならず協力団体の会員はもとより、全国から高い関心をもった聴衆を集めた。
参加教員のコメント
-
プロジェクト名
サラマンカ電子音響音楽祭
-
連携場所
サラマンカホール・ふれあい福寿会館
岐阜県立美術館
-
担当教員
- 三輪 眞弘
-
協力者/参加学生
IAMAS 教員、在学生、卒業生
JSEM(日本電子音楽協会・共催)
JSSA(先端芸術音楽創作学会・共催)
九州大学感性総合デザインセンター
名古屋市立大学芸術工学部 -
連携先
サラマンカホール
-
連携期間
2014.05-2015.09
三輪 眞弘
大規模なイベントをとにかく無事成功させた。このような形で IAMASと県内の文化施設であるサラマンカホール、岐阜県美術館との連携が実現したことの意義は大きく、さらなる展開にも期待したい。