そして現在。絵画が写真の誕生によってレアリスムから遠近法から離れていったように、CGもまたフォトリアリズムの追求に一応の成果を得ることによってノンフォトレアリスティックな技法を模索しだした。例えばマンガ的ムービングイメージを追求した「マトリックス」手書き風レンダリングの「ターザン」などが始めつつある路線だ。
そしてVRなども視覚のみならず、マルチセンソリーな私たちの認識のシステムを解きあかしつつ新たな感覚の実験を進めるだろう。これら新しいイメージの冒険はまだまだ始まったばかりだ。コンピューターは今までのカメラにおけるレンズがそうだったような、ある特定の見せかたを本来機能としてもっていないテクノロジーだ。それは今後私たちがどのようなものを見ようと欲するか次第で次々と私たちに新たなイメージを見せていくだろう。
信号機を見るとき私たちはそこに社会のルール、共通了解を暗黙のうちに含めて見ている。新たなヴィジュアルテクノロジーは今まで暗黙のうちにやりすごしてきた、私たち自身がつくり、そしてセットしてきた物の見方の成り立ち自体を問い始めているのかもしれない …
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