RCIC
Research Center for Industrial Culture 情報科学芸術大学院大学 産業文化研究センター

ぎふ未来音楽展2020 三輪眞弘祭 -清められた夜-

2020年度

作曲家・三輪眞弘が、 音楽芸術の現状と未来に本気の危機感を投げかける一夜限りのライブ配信公演

「音楽による音楽のためのお通夜」を岐阜市のサラマンカホールから無観客開催・ネット配信する。西洋音楽の祭壇、パイプオルガンと共にJ・オケゲムのレクイエムを人工音声が歌い、「霊界ラヂオ」が死者の声を傍受する。

プロジェクトの目的

予期せぬ新型コロナウイルスがアーティスト、音楽ホールの動きも停滞させ、音楽の発信の場はやむなくオンライン中心となった2020年上半期。音楽と観客の一体空間という、かつて当たり前だった姿が成り立たなくなったポストコロナ時代に、音楽は社会の中でどう生き延びていくか。音楽の歴史は根本的に変わってしまうのか。これからの音楽は、どこに光を見出せるのか。「音楽の終わりの終わり」とも呼べるこの状況を、日本へ、そして世界へ向けて問うべく、「音楽による音楽のためのお通夜」を岐阜市のサラマンカホールから無観客開催・ネット配信する。西洋音楽の祭壇、パイプオルガンと共にJ・オケゲムのレクイエムを人工音声が歌い、「霊界ラヂオ」が死者の声を傍受する。さらに今回発表される新作 ” 鶏たちのための五芒星” では、人類の芸術を偲ぶ秘儀にオンライン上に接続された人々が立ち会うことが期待されている。

連携のプロセス

連携のきっかけ

三輪が参加してきたサラマンカホール主催「ぎふ未来音楽展」の3回目として「三輪眞弘祭」が計画されていた。コロナ禍のため無観客のライブ配信イベントとなったが共催したIAMASと京都大学人文科学研究所の協力のもとに公演が実現した。

具体的な進め方

7月:IAMAS OPEN HOUSE 2020 サラマンカホール「三輪眞弘祭」に向けて
8月:サラマンカホールよりライブ配信 プロローグ「音楽の終わりの終わり」は、ここからはじまるー。
9月:公演本番

IAMASの関わり方

この公演はIAMASのタイムベースドメディア・プロジェクトの成果発表としても位置づけられている。また、映像作家として前田真二郎、詩人として松井茂がアーティストとして参加し、さらに舞台美術をはじめ公演スタッフの多くがIAMASの現役学生と卒業生だった。

連携の成果

公演は、IAMASと三輪が代表を務める京都大学人文科学研究所の研究班の成果であり、また県内文化施設との連携、すなわちサラマンカホール主催事業の成果である。当日の配信には、海外からも含めて3000以上のアクセスがあった。

・COVID-19 流行の中での運営について:
演奏家たちは2m以上離れて演奏するなど、公演の実現には多くの制約があったが、何よりも今回は終演後の打上げが開かれなかったことが残念だった。打上げは様々な立場の関係者たちがそこで結果を検証し、互いをよりよく知り、次の展開につなげていく貴重な機会だからである。

参加教員のコメント

三輪 眞弘

今回の公演は作曲家の三輪眞弘と映像作家の前田真二郎が音楽でも映像作品でもない「配信芸術」という新しい表現形式に共同で取り組んだものである。音楽、芸術関係者の多くが視聴しており、この試みについて様々な感想をもらった。また、中日新聞でもこの公演の記事が掲載された。

  • プロジェクト名

    タイムベースドメディア・プロジェクト

  • 担当教員

    • 三輪 眞弘
    • 前田 真二郎
    • 松井 茂
  • 協力者/参加学生

    参加作家
    佐近田展康 麥生田兵吾

    出演
    川口隆夫(ダンス) 塚谷水無子(オルガン)
    岡野勇仁 西村彰洋(MIDI アコーディオン)
    江原優美香(箏) ほんまなほ(ルバブ)
    マルガサリ:恵美須屋直樹 大井卓也
    黒川岳 谷口かんな 中川真 西村彰洋
    森山みどり(ガムラン・アンサンブル)
    6羽の鶏

    制作・ステージマネジャー
    福永綾子(ナヤ・コレクティブ)

    舞台美術・衣装
    小野田裕士

    照明
    デライト(株)

    音響
    牛山泰良

    映像技師
    岡本彰生

    鶏提供
    チキモノ

    Web
    岡澤理奈

    主催
    サラマンカホール

    共催
    情報科学芸術大学院大学[ IAMAS]
    京都大学人文科学研究所

  • 連携期間

    2020.05 - 2020.12