このたび、IAMAS(イアマス)は「IAMAS 2022」と題し、第20期生による修了研究発表会および 2021年度のプロジェクト研究発表会を開催します。IAMAS には、芸術、情報科学、デザインに留まらない様々な専門領域を持つ人が集まっています。このような環境の中で、各々の専門性を発揮しつつ、時には他の領域を横断しながら、自身の些細な違和感や関心に焦点を当てた制作や研究を行っています。その集大成として制作した修士研究作品の数々をここに発表します。
IAMAS 2022ではIAMAS第20期生の意思として「あがりの儀式」をキーワードとしています。新型コロナウイルス感染症の世界的流行から2年が経とうとしています。その猛威は未だ予断を許さない状況ではありますが、流行当初の非日常はだんだんと私たちの日常となりつつあります。世界のどこにいても向き合わざるを得ない事態に、誰もが影響を受けました。それはこの2年間を IAMASという環境で過ごした私たちも例外ではありません。
私たちにとって本展覧会とはコロナ禍と呼ばれる時代に様々な思いを抱えながらIAMASという環境で悩み、議論し、作り上げた修士作品を社会に問う場であり、区切りをつけ、「あがる」契機であると考えています。私たちが「あがる」ためには、この時を共にしたIAMASに関わるすべての人の協力が必要であり、本展覧会はその全員の参加を以ってあがりを祝す儀式としてあります。
世界では新型コロナウイルス感染症流行以前の日常を取り戻そうという試みが始まっていますが、2022年現在から振り返ってみれば、新型コロナウイルスの蔓延とともに新しい時代が始まったと考えられるでしょう。そのような時代にIAMASという環境で様々な思いを抱えながら作品制作に打ち込めたことは幸せなことだったかもしれません。
私たちは本展覧会を「あがりの儀式」としてIAMASという環境に一区切りをつけ、ここでの経験を糧にそれぞれの新天地へと向かいます。ご来場のみなさまにおかれましては、ぜひ作品と対峙し、作家と活発な議論をすることを以って私たちのあがりを祝していただければ幸甚です。
IAMAS 2022 実行委員長
西田騎夕
IAMASとは
IAMAS(情報科学芸術大学院大学)は、岐阜県の情報産業拠点ソフトピアジャパンプロジェクトの一環として、1996年に岐阜県立国際情報科学芸術アカデミーとして開学し、2001年に修士課程のみの大学院大学として設立された学校です。充実した講師陣による少数定員の大学院大学として海外にも広く知られ、英文名称 Institute of Advanced Media Arts and Sciences からIAMAS(イアマス)と呼ばれています。芸術と科学の融合を建学の理念に掲げてスタートしたIAMAS は、最新の科学技術や文化を吸収しながら、新しいものづくりやデザイン、先端的な芸術表現などを社会に還元する高度な表現者の育成を目指しています。IAMAS の教育の先端性は、工学、デザイン、芸術、人文学など、様々な異なる分野の学生たちによるユニークな研究を生み出します。専門性を習得し、様々な知を統合し、それを新たな領域まで拡張することによって、修了後は表現者として社会における新しい領域で活動し、それを展開する能力を身につけます。