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メディア表現特論C(表現×科学・社会)

ポストパンデミックの世界に入り、近代を基盤にして形成されてきた諸システム(科学も含まれる)や人間中心主義的な価値観の再考がうながされつつある。現代において科学技術は、私たちに「現実とは」「人間とは 」「生命とは 」など、哲学・倫理的な問いを投げかけている。また現代は、人間が地球環境に及ぼした取り返しのつかない影響を表す「人新世」という地年代にあるとされる。そのような中、メディアアートは科学技術や社会といかなる関係をもちうるのだろうか。
現在、メディア・アートは、計算機科学(AI)、生命科学、宇宙科学など最先端科学に加え、地質学、考古学、人類学、民俗学など諸領域とのコラボレーションを活発化させている。授業では、これらの事例とそこで提示されている問題系を検討していく。具体的には、カストロが生命科学の領域を、四方が自然科学・人文学の諸領域に関わるメディア・アートを取り上げる。カストロは、生命と非生命の境、生命の起源、ウェットな人工生命、エイリアン生命などに加え、合成⽣物学と化学、宇宙生物学の分野を扱い、四方は、人類学、考古学、民俗学、ジェンダーや先住民研究などとの関係から扱う。松井と松田は、極私的表現と社会との関わり、日常の自然現象への眼差しのあり方について、美学的観点から扱う。

講義計画・項目

第1回12月4日(月)自然現象と表現:山下麻衣+小林直人《infinity mirage》について(松井)
第2回12月11日(月)眠りとアート:ソフィ・カル《眠る人々》について(松田)
第3回12月18日(月)視覚と記憶:ソフィ・カル《盲目の人々》について(松田)
第4回1月12日(金)虫と表現:野口里佳と青柳菜摘の作品について (松井)
第5回1月15日(月) バイオテクノロジーとアート(カストロ)
第6回1月22日(月)エコゾフィック・アート 1:螺旋 (四方)
第7回1月25日(木)エコゾフィック・アート」2: 波 (四方) 
第8回1月26日(金) 生命らしい技術とアート(カストロ)

*カストロの授業は基本的に英語ですが、場合に応じて日本語でも行います。(Castro’s classes are generally taught in English, but may be conducted in Japanese as needed)

教科書・参考書等

必要に応じて授業で紹介します。

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