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展示 在校生

IAMASショーケース展示『SOUND SCULPTURE』

修士1年のLucy Choさんと丹治圭蔵さんによるIAMASショーケース展示『SOUND SCULPTURE』を9月30日まで開催いたします。

ルーシー曰く、これらの造形物は「不安」から出発しているという。
どういうことか。この形状は、6月に録音したルーシーの声の波形をモデリングしたものなのだ。
知らないウイルスが猛威をふるい、未曾有の状況に不安を抱えていた時に発せられた声である。

しかし、このテキストを書いている僕(丹治)には、ルーシーの不安な気持ちはわからなかった。
正確にいうならば、「不安であること」はわかるが、どんな風に気持ちがざわめき立ち、沈んでいるのか。その内実までは、どうしたってわからなかった。
それは、声を聞いても、その波形を見ても同じだった。

そのうちにルーシーは、韓国に帰国してしまった。
そういう訳で、データの制作等はルーシーが、オブジェの制作やその他展示作業は僕が担当し作業はすすんだ。
分割されたstlデータを出力することで少しずつ形を為していく造形物を毎日のように見ていると、それが本来何を意味していたのかを思い出すことはすっかりなくなっていた。

声の主ではない僕が、インストーラーとして制作することで担保しているものは何か。
僕は、わからないものをわからないまま作り、わからないことすら忘れてしまって、ふたたびわからなかったことを思い出していた。

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あっ、あー、あぁー、あ、あーーーーー、ああああああああ、あーあ、
これでは伝わりません。記号では伝わりません。
文字は伝わりません。音では伝わるでしょうか。
この文字は音でしょうか。何か聞こえますか。
形ではどうでしょう。この音はどんな形でしょうか。
音を形にすれば伝わるのでしょうか。
そもそもこの形が音であるかは疑わしいです。
この形は音でないのだとすれば、
一体なんなのでしょうか。

『SOUND SCULPTURE』制作覚え書きより