児玉幸子+竹野美奈子
Sachiko Kodama
kodama@hc.uec.ac.jp

Minako Takeno
m-takeno@red.an.egg.or.jp

http://oz.hc.uec.ac.jp/~kodama/proflo.html

児玉幸子
1970年静岡生まれ。北海道大学理学部を卒業後、筑波大学芸術研究科修了、同大学芸術学研究科修了。芸術学博士。筑波大学在学中に、コンピュータ、ホログラフィーを使ったインスタレーションの発表とメディア・アートの発展史的研究を行い、近年、デジタル機器や新素材によるインタラクティブ作品の制作を通じて、メディア・アートの理論的・実践的研究を進めている。主な展覧会:ARTEC'95、97入選、96年個展。97年「パラパラパララックス展」主催。2000年より竹野美奈子とのコラボレーション〈Protrude, flow〉プロジェクトを開始し、2001年シーグラフ2001 アート・ギャラリーに出展。現在、電気通信大学助手。

竹野美奈子
1969年東京生まれ。多摩美術大学デザイン科グラフィックデザイン専攻を卒業し、95年筑波大学芸術研究科修士課程を修了。在学中から、見えない力〈重力〉〈磁力〉をテーマに制作をはじめる。主な展覧会:1995年、色彩のワンダーランド(みなとみらい21横浜館)、ミラクルラボ95年度常設展示(パルテノン多摩)、個展(スタジオ錦糸町)。96年、メビウスの卵展(O美術館/パルテノン多摩)、サイエンティフィックアート回顧展(理化学研究所)。98年、現代日本美術展入選(東京都美術館)。99年、個展「rise」(西瓜糖)、国際シンポジウム「知のかたち・かたちの知」(筑波大学)The Best Presentation Award受賞。2001年、ZONE展(パラグローブ)ほか。


突き出す、流れる

物質をより自由に形成し、より自由に動かすことは、人間が永年追求してきた夢であり、たとえば芸術家も、超現実的な絵画や映像において、そのようなイリュージョンを制作してきたが、それは想像上のことであった。私達は、自分がデザインしたように変容する実際のマテリアルを手に入れることができるだろうか?「突き出す、流れる」は物理現象としての流体のダイナミックな運動を表現するインタラクティブ・アートの作品であり、流体の有機的で野性的な形と運動をデジタル・コンピュータのコントロールにより実現する。 「突き出す、流れる」は、磁性流体、音声、動画を用いる。展示会場における音と観客の声に反応し、磁性流体の3次元形状がさまざまに変化し、同時に流れる動きとダイナミックな変容が広いスクリーンに投影される。 磁性流体とは、黒い色をした液体で、磁性をもつ微粒子が溶媒に散乱しているので、流体の状態で強い磁性を保ち続ける。それゆえ磁性流体は、砂鉄よりもフレキシブルに形態変容が可能であり、ずっと複雑で有機的な3次元形状をつくることが可能である。それは、ときに鋭い山型となり、柔軟な有機的形態となり、ときに流動的な粒子の流れのように見える。
磁性流体の形の変化は、環境音とのインタラクションによってつくり出される。展示会場の音(制作者が用意した音、観客の発する音声)を、天井から吊るされたマイクロフォンで集め、コンピュータが音の大きさを解析して、電磁石の電圧に変換し、電磁石が磁場を形成する。すると、磁性流体の形状が連続的に変化する。それぞれの形は、環境音に連動して形成され、突起の先端が音に応じて動く。結果として、磁性流体は音にシンクロしながら脈動する。ビデオカメラは動く流体の姿を撮影し、リアルタイムにスクリーンに投影する。

2001©Sachiko Kodama & Minako Takeno



ケイシー・リースティファニー・ホルムズジム・キャンベルカミーユ・アッターバックアーノン・ヤールウォルフガング・ミュンヒ+古川聖ジェイ・リー+ビル・キースアルス・エレクトロニカ・センター未来研究所 ゴーラン・レビン岩田洋夫