「他人の声を聞く」こと:反響することばと、声の韻律
「人の声に耳を傾ける」とは、単に音を聞くことではなく、他者との関わりの中で、自分自身を見つめ直すことも含まれています。本企画では「声を聞くとは何か」という問いに立ち戻り、詩作と言語学の視点から考えます。詩人の成田凜は、人や物が発するリズムや言葉を聴き取り、それに応答する形で詩を書いてきました。卒業研究ではウイグル現代詩を題材に、ディアスポラ当事者への「聞き書き」を通じて「声」の飜訳に取り組み、他者の言葉を語る際の誠実さについて探究しました。一方、言語学出身の早田仁知は、言語学が「声」を扱う際の問題点を批判的に見つめ、言語コーパスでは削ぎ落とされる「韻律」を可聴化する試みを続けています。トークでは両者の実践を交差させながら、「声」に含まれる多様な要素を確かめ、生身の声が私たちに求めるもの、もたらすものについて探ります。
| 2026/02/22(日) | 12:00 ~ 13:30 |

こんにちは、詩人の成田凜です。言葉には、人間と社会を取り結ぶ機能がありますが、ときにその機能は人間の尊厳を傷付ける形で現れることもあります。差別やいじめ、らしさの暴力……こうした尊厳の抑圧を許さない道をわたしは選びたい。類型化の神話に抗い、ひとりひとりの声にひたむきに耳を傾け続けることが、人間と社会の関係を再び結び直すための鍵になるのではないでしょうか。|1999年生まれ。現在は「聞き書き」手法による現代詩の制作、ウイグル詩の飜訳に取り組む。第一詩集『猫式 Nyanical』(七月堂)。

学部時代は言語学を専門にし、インド・デリー大学への交換留学も経験。現在は文字化が難しい言葉の要素に関心を持ち、〈韻律 / speech melody〉に着目した研究制作を行う。東京外国語大学言語文化学部ヒンディー語専攻卒業。

1999年生まれ、兵庫県出身。学部では教育心理学を専攻し、人間の学習プロセスやカウンセリングの基礎を学ぶ。IAMASに進学してからは「状況との対話」に着目し、対話をモチーフに人間の知性を研究している。東北大学教育学部卒業。