- 執筆者:佐近田展康
- 発表:名古屋学芸大学メディア造形学部紀要、vol.6、pp.21-33、2013年
論文要旨
本稿は、フォルマント兄弟の多岐にわたる制作の技術的な基盤である「兄弟式リアルタイム音声合成演奏システム」の概要と背景について解説する。まず音響物理学上のフォルマント概念および人間の発声のメカニズムの基礎理解から始め、それを人工的に再現する試みの18世紀以来の歴史上に、フォルマント兄弟の人工音声システムを位置づけたうえで、音声合成エンジンのシステム構成を説明した。次に鍵盤インターフェイスによる発声コントロール規格である「兄弟式日本語鍵盤音素変換標準規格」の内容および美学・身体論的観点から見た意義を、具体的作品を引きながら詳細に議論した。最後に、MIDIアコーディオンをインターフェイスにした現在進行中の科学研究費補助金研究の取り組みを紹介した。