学長あいさつ

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情報科学芸術大学院大学
学長 三輪眞弘

昨年、旧岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー設立から20周年を祝ったIAMASは、創設以来「(メディア)アートの学校」だと思われてきました。その通りです。ただし、「アート」の語源である「ars」がむしろ技法や技術を意味していたように、IAMASは美だけを追求する場所ではありません。そうではなく、私たちが未来の社会に生き続けるための「知の技法」を学ぶ場所であり、美はかけがえのないその一部にすぎません。つまり、メディア表現研究の名の下に、それぞれ分野がまったく異なる、わずか19人の専門家が大垣という場所で学生たちと共に多様な活動を続ける「一つの小宇宙」、それがIAMASです。

激変するこの世界の中で今ほど、学問が「一つの宇宙」であることの大切さが求められている時代はありません。倫理をないがしろにした技術革新が、未来の子孫たちから多くのものを奪い取り、私たちの心を荒廃させている今、私たちに求められているのは競争に勝ち残るための断片的な専門知識や技能ではなく、それらの真の価値を深く洞察し、よりよい未来を創るためにどうしても必要な知性なのです。それは、死者たちの声に耳を傾ける謙虚さや、未来の生者たちの幸福を願う感性と責任感に根ざすものであり、同時に、私たちがそこから学び、未来に向けて今、孤独な自分に一体何ができるのかを見定め、新たな可能性に挑戦していくために不可欠な能力に他なりません。

IAMASという小宇宙における「アート」とは、多様な専門分野に立脚しつつも、「一つの知性」、すなわち、「統合された創造力を形にしていくための技法」のことです。そして、これまでの20年間に育まれた、このような「IAMASスピリット」こそ、様々な分野と地域に広がる多くの卒業生たちの活躍を支え、岐阜県にある小さな学校が比類のない大学として世界的に認められるようになった理由です。そしてこの精神は、混迷を極めるこれからの世界においてより一層、その真価を発揮していくに違いありません。