SF的想像力と芸術表現
科学技術の急速な発展は、世界の合理化の極限において、逆説的な〈魔術性〉を帯びつつあります。徹底した合理化の帰結としてうまれる消費空間化された世界において、アルゴリズムや人工知能、ネットワーク技術は、その作動原理が不可視化され、もはや利用者の理解を超えた魔法のような力として人びとに経験されます。テクノロジーのもつ魔術性は、社会的不平等や人間性の疎外、環境破壊、資本主義的魅惑と結びつく危険性がある一方で、合理化された世界を揺るがし、オルタナティブな現実や未来を想像させる潜在力も同時に秘めているという点で、両義的な意味合いをもちます。
こうした状況を批判的かつ創造的に引き受ける芸術実践として、本プロジェクトはサイエンス・フィクション=SF的想像力に着目します。すでに過去のSFや芸術表現には、現実世界の廃墟化を予言し、あらたな物語を立ちあげていく実践が数多く存在します。プロジェクトでは、こうした作品を再解釈し、関連するテーマについて議論していきます。SF的想像力を媒介とすることで、テクノロジーが作り出す魔術的リアリティを批判的に解体し、オルタナティブな未来の物語を具体的に構想・提示することを目指します。
研究代表者:
前林 明次
研究分担者:
立石 祥子
, ホアン・マヌエル・カストロ
科学技術と芸術表現を横断する本プロジェクトは、全期間にわたって、理論的問いをめぐる議論と、フィールドワーク、そして制作実践を三本柱として展開していきます。必要に応じてさまざまな作品を参照しつつ、複数のテーマから「SF的想像力と芸術表現」について考えていきますが、受講者は、ここでおこなわれる批評・分析・解釈を、実際の制作へと結びつけ、「SF的想像力」によって現実世界を問い直していくことが求められます。具体的には次のような活動を計画しています。
- 優れたSF作品を参照しながら、毎回さまざまなテーマをとりあげて「SF的想像力と芸術表現」について考えます。
- 都市空間をフィールドワークし、テクノロジーの魔術性をめぐる両義的意味について考えます。
- 1年の最後には、受講者による作品制作と、プロジェクト展示を実施します。
2026年 - 現在
