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展示 卒業生

Lifework #4 《○○の間(ま)》

ソフトピアジャパンセンター センタービル1F IAMASショーケースにて、卒業生の廣瀬周士さんの展示「Lifework #4 《○○の間(ま)》」が開催中です。(展示は7月2日まで)

私たちの日常生活を客観的に考察しながら、様々な疑問や多義的な解釈を得たいという根本意図をもった表現活動を“Lifework”とし、都度テーマを設けて取り組んでいる。私自身、美術を学んできたという背景を持ちつつも、絵を描くことやモノをつくることで何かを主観的に再現したり、自身の内部にある世界観を外部化しようなどとこの場合は考えていない。そういった既定の分脈から自分を切り離して、自分にとって絵を描くことやモノをつくることは、何かを理解する唯一の方法と考え、《いつ誰が何を何のためにつくったか》を想定の上で取り組むことを作法としている。

《○○の間(ま)》
私が育った家の茶の間には床の間があった。モノが増え、他に置き場の無いカラーテレビがそこに鎮座する。芸術文化とはおよそ無縁の飾り物やトロフィーも、高度経済成長期を生きる家族の充実感を演出する「小道具」として茶の間を彩っていた。意味を逸脱し、混沌とした空間ではあったが、家族が価値観を共有するための時間を生み出していたように思う。
時代は変わり、「情報空間」と「物理空間」を行き来する私たちの日常は、個人の価値観を多様化させ、かつての充実感のようなものを共有する方法も変化した。そこにあった何かはモノである必要がなくなり、思いを馳せる「小道具」もかたちを変えるが、それによって失われる物理的意味についても考えてみたい。
例えば、情報世界に置き換えられた物事をモノに引き戻すことは無意味だと思うが、そのプロセスや置かれる場所によってまた別の意味を放つかもしれず、それは博物館で民具などを鑑賞するときのような多義的解釈へと導いてくれるのかもしれない。