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研究基礎科目

メディア表現研究Ⅱ

博士前期課程から研究能力をさらに発展させるため、「メディア表現研究Ⅰ」にて修得した研究の基本的な進め方からはじめ、各自のテーマに基づく研究の視点から、さらに学際的・国際的な視点に立った研究活動を自立して推進できる研究遂行力を養う。ならびに質の高いメディア表現へ向けた研究方法を演習を通じて理解する。メディア表現の論文作成に求められる手順を理解し、文献検索や研究事例の収集、仮説設定と理論検証、考察手法等、論文作成方法を演習を通じて修得する。

講義計画・項目
  • 第1回ガイダンス
  • 第2回~第3回テーマの探求・発見および背景の調査
  • 第4回~第5回先行研究と研究分析
  • 第6回~第7回研究テーマと論文計画の提出と議論
  • 第8回~第10回研究調査・分析方法、表現手法の選択と考察
  • 第11回~第13回理論・体系化と実践計画
  • 第14回~第15回論文構成と研究方法

各自の研究に即した教員の研究テーマを選択し履修する。各教員の研究テーマは次のとおり。

(赤羽亨)
インタラクションデザインに焦点をあて、デザインプロセスにおいて重要となる「プロトタイピング」に関連して、メディア表現技術の体系的な習得やデジタルファブリケーション技術を活用したプロトタイピング手法など、メディアテクノロジーを使った表現手法やインタラクションの記録について教授する。

(赤松正行)
自転車を始めとする自律的な移動を主題としてテクノロジーとアートを融合させた実践的な調査・制作と発見的な批評・論考に対して、各種の環境感応技術、拡張現実感技術、映像音響体感技術などを用い、個人の身体性や創造性、社会の交換性や持続性、自然と機械の相互作用性や創発性などについて教授する。

(大久保美紀)
高度情報化社会におけるメディアは、芸術的表現を充溢させると同時に、凡庸化・均質化した。授業では、ソーシャルメディア、没入的プラットフォーム、セルフィー、ファッション、ゲームなどの具体的経験について、芸術ー非芸術、虚構ー現実、身体ー非身体の二項対立を乗り越える両義的視点から評価し、メディア表現を考察するための理論や方法論を教授する。

(金山智子)
高度情報メディア社会において、他者との関係や意味の構築プロセスを(不)可能とするコミュニケーションを規定する媒介・場としてメディアを捉え、既存のメディアコミュニケーション論を現代社会の中で相対化し、新たな理論や方法論、メディア実践からこの問いについて教授する。

(桑久保亮太)
メディア技術と世界の関係性を考察するため、客観的な事実認識とともに、個々人が抱える問題に積極的に目を向け、尚且つそれを社会に接続することで共有・共鳴させる方法を具体的に探求することが求められる。ここではメディアアートを個別の問題を普遍化する活動のひとつの方策として捉え教授する。

(小林孝浩)
情報システムの継続的な発展がもたらす不可逆的な影響を省みつつ、現在の社会環境において技術の適正なあり方や技術に依存しすぎない人間や生活のあり方をテーマに、情報システム工学に専門の軸足を置き、それらの応用研究に関して教授する。

(小林茂)
まず、古典から最新の国際標準に至るまでイノベーションの定義がどのように変遷してきたか背景と共に学ぶ。次に、経営学等の知見を参照しつつアイデアの創出から実装に至るまでの課題と手法について学ぶ。その上で、中小企業、スタートアップ、メディアアーティストなど限られた資源で実行した事例を詳細に分析し実践に向けて教授する。

(鈴木宣也)
メディア技術とそれがもたらす影響をテーマの主軸に捉え、ビジュアルリテラシー(創造)やインタラクションデザイン(設計)、プロトタイピング(実践)などを含むデザインプロセスに関する発展研究について、情報メディアとデザインの可能性と課題をホリスティックな視点から俯瞰的に教授する。

(平林真実)
様々なメディアおよび時空間上で構成されたコミュニケーションを、機械学習等を用いた分析から、実世界インターフェイス、Webシステムを含む基盤に対し、多様な状況に適したコミュニケーションを拡張するシステムを例に、実時間性を担保した実践的な実現手法を教授する。

(前田真二郎)
デジタル技術と結びついた「映像」は、従来の映像表現だけでなく、印刷や通信などのメディア環境や、美術や舞台といった芸術分野に大きな影響を及ぼしている。映像の発信/鑑賞形態の変化が生んだ新たな視覚文化を見据えながら、新旧の映像メディアに関する技術や表現を整理し、今日の映像表現について教授する。

(松井茂)
20世紀後半のメディアをめぐるインフラストラクチャーの変化を踏まえ、現代芸術を文化現象として再配置し、作家像、作品概念の変化を検証する。マス・メディアを介してはかられる領域横断が、制度化された芸術諸分野を解体し、抵抗文化として、ラディカルな表現上の戦略をいかに設計してきたのかを抽出する。

(山田晃嗣)
安全・安心なネットワークというインフラと、情報の価値を高める分析手法を用いて、各ユーザに個別対応するための一手段として情報技術を考える。そして、それらをどのように現場へ取入れて行くべきかを福祉の視点で捉え、情報インフラ、情報分析と共に情報技術のあり方について教授する。

(菅実花)
メディア技術の進歩により変遷する表象文化と社会に焦点を当て、近代以降の芸術史をふまえて、視覚表現を対象にその背景にある歴史的・社会的文脈を掘り下げるとともに、個々の制作者・鑑賞者の体験を相対化し、「問い」としてのアートの実践を探求する方法論を教授する。

(飛谷謙介)
機械学習をはじめとする人工知能に関する諸技術を新たなメディア技術として捉え、それらの数理的な側面だけでなく、技術の進展と供に社会に形成されうる価値観について検討する。そのため本講義では、数理統計学の歴史を紐解き、諸技術に通底する確率的・統計的な感覚、およびその社会的展開、特に表現領域との接点について教授する。

教科書・参考書等

指導に際して必要となる参考書・参考資料は適宜紹介する。

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